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俺は彼を愛してる

第1章 first contact

一鳳さんが
管を巻く鈴夏に声をかける

「ツーなら もぉ今日は出てこねぇよ
鈴夏ちゃん結構 酔ってんねぇ
フラフラしてっと食っちまうぞ!
帰れなくなんなよ」

ぎゃー!
僕を食べてぇ~!
鼻血出そぅ~!

って興奮してる場合じゃない
「ねぇもう 今日は諦めて帰りましょ」

タイミング良く出されたチェイサーを
鈴夏に飲ませようと横を向くと

カウンターの端で女の子達が
なにやら言い争いをはじめた

ビリヤード台の向こうに居る
男の子の団体に
一鳳さんが声をかける

「おい リュウ」
一鳳さんは顎で女の子を指した

あまりに馴染んでいて
気が付かなかったけど
店員だったらしいその男の子は
夜の店に似つかわしくなく
高校生の様に若くて
キラキラして見えた

一鳳さんからリュウと呼ばれる
そのキラキラ男子は
とても綺麗な所作で
騒ぐ女の子達に近づいていく

「隆佑(りゅうすけ)聞いてぇ~
この子がぁ...」

「はぁ?何言ってんの?!
あんたが言い出したんじゃないの!
いつもそうだよねぇこの前も!」

「この前って何よ!?」

リュウ君は両手を広げて
2人の目の前にスっと出した

「順番に話してもらわないとぉ
僕頭良くないから エヘ
でも耳は良いから
大きな声じゃ無くても平気だよ」

ニッコリわらって
チラリと見せる八重歯に
お姉さん達はメロメロで
我先に自分の隣に座る様にと
リュウ君に手を伸ばして
別の喧嘩が始まってしまった

ありゃ治まりそうに無いわねぇ

絡み酒同士は厄介だねぇ
と思いながら正面を向くと
一鳳さんも 頭をポリポリとかいて
様子を伺っていた

何をしていてもカッコイイ!

一鳳さんに見とれていると
『パリィーン』
グラスが落ちた音に驚いて

店の中が静まり返るけど
そのまま 取っ組み合いを続ける

女の子達の片方が フワッと宙に浮いた


 

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