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好きにさせて

第13章 不通



久しぶりに
キスをするのには
時間がかかった


お互い
気持ちを確かめあって
もう
躊躇うことなんて
無いはずなのに

妙に
照れくさくて


俺も
茜も

まるで
キスをさけている
みたいやった


せやから俺は
大事なことを
茜に確認したんや


「茜」


「ん?」


「色々あるのは分かったけど
俺は茜と
ほんまの恋人になって
それからゆっくり
ひとつひとつ
茜の気持ちを聞いてやりたい思てる。

せやから

ほんまの恋人に
なってくれるか?

それで
ええか?」



「……いいの?」



こんな私だけど
いいの?


そう言う意味で
言うてるんやと
思った



「どんなことがあっても
俺は茜がええんや。

茜やないとあかんねん。

せやから…


俺のもんに
なってくれ」





「なりたいよ

私だって…尚がいい

でも」





「別れてもええ」



「え?」



「上手いこといかんかったり
茜がやっぱり辛かったりしたら
別れてもええ。

せやから
やってみいひんか?

俺と

上手いこといくかどうか。


俺は
別れるつもりはないけど」




「……尚」




「ええよな?」




「……ありがと」




「茜…」



それから俺は

茜に
唇が触れるだけの
キスをした


「今日はもうこれで
話はおしまいや。

ゆっくり寝て
また明日な」


話はしない

そう言えば
茜が落ち着くと思うたんや

謝りたい
話しておきたい
言わなきゃ…

茜はきっと
そう考えてて
話すチャンスを
見計らってるはず


今日はもう聞かへん


そういえば
少しは安心して
眠れるやろう


「寝よか、茜」


俺はそう言って
茜に寄り添い
お互い出来るだけ
身体を密着させて目を閉じた


「茜…頼みあるんやけど」


「うん…わかってる」


「ん?」


「朝、私が先に起きたら
尚のこと起こすんだよね」


「頼むな」


「うん」


「おやすみ、茜」


「うん」


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