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好きにさせて

第15章 決断



それから


俺と茜は
半同棲をはじめた


茜は
相変わらず
小夜をやってて
親父さんの世話もあるから
家にはよう帰ってるけど
週の半分は
俺の部屋に泊まってる感じや


親父さんには
付き合うてる人がおって
そこに泊まってると
説明したらしい

まぁ
茜もええ大人やし
親父さんも
この先茜が結婚せんよりかは
した方が安心やからか
何一つ文句を言われることは
無いみたいや


そんなやから
最近は
引っ越ししよか?
という話もでてる


俺の勤務が色々やから
今の間取りやと
茜が気を使うて
しんどいやろうからな


まぁそんな感じで
順調に進んでるんやけど……



「今日は客来んみたいやなぁ」


小夜のカウンターで
ウーロン茶を飲みながら
茜に声をかけた


「そうね(苦笑)
もう看板おとしてくるね」


「せやな」


仕事帰りに
茜を連れて一緒に帰ろうと
小夜に寄った俺は
客が引くのを
カウンターで待っていた

今日、茜は
俺の部屋に泊まる日

せやけど
それが毎日になる日が
来るんかどうかは…謎


茜と色んな話をするようになったけど
「結婚」については
口が重いんや


「あ、それとも…」


「ん?」


「尚、お腹空いてるなら
ココで食べて帰る?」


「あーせやなぁ。
腹減ってるし
料理持って帰らんでええし
そうするか?」


「うん」


看板の灯りを消した小夜の中
俺と茜は
二人きりで
晩酌をすることにした


「家でもええねんけど
俺、この店で飲むんも
雰囲気ようて好きやねん」


「そう言ってくれると
嬉しいなぁ」


「他の客もおらんし
茜独り占めで
うまいもん食えるし
それに…」


「それに?」


そう言いながら
茜は
俺の隣に腰掛けて
ビールを注いでくれた


「お触りし放題や」


「もう(笑)」


「せやから…」


「ん?」



「結婚しても
茜が店やっていくんなら
こうやって時々
ココには来たいなぁ…」


「……そうね」


今日もまた
俺の『結婚しても』という
軽いジャブに
茜はふんわりした返事を
よこした

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