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好きにさせて

第15章 決断


「明日は
俺も茜も休みで
久しぶりにゆっくりできるなぁ」


「うん、そうね」


「ちょっと飲まへんか?」


「車は?」


「代行でええし」


「そうね」


茜とゆっくり
茜の母親がやってた小夜で
酒を飲む時
茜は素直で機嫌がええ


茜の好きやった母親の
思い出がいっぱいのこの店は
茜の大好きな場所やからや


せやから
結婚しても
好きなだけ
この店やってったらええと
俺は思うてる


ちょっと
ヤキモチ焼くこともあるけど(苦笑)


「なぁ茜」


「ん?」


「ずっと小夜やってかまへんで」


「え?どうしたの?急に」


「急にやないで。
俺はそう前から思うてて
それを今言うただけや」


「いいの?」


「かまへん。
茜の大事な場所やからなぁ。
少々赤字やっても
やったらええ」


「尚…ありがと」


少し酔って
表情のゆるい茜が
「ありがと」
と言いながら
俺の手を握った


あぁ

ほんまに茜と
結婚したいと思う


茜と一生
一緒にいられる切符を
手に入れることができるなら
どんなことでもしたい


紙切れ一枚のことにこだわるのは
おかしいかもしれへんけど
中学の時に
突然引き裂かれた時のことが
トラウマなのか
最近の俺は妙に
その紙切れに
こだわっていた


「なぁ」


「ん?」


「俺のこと好きか?」


「え?
今日、なんか変だよ?」


「変やない。
なんでも話す約束したやろ?
言いたいこと言うてるだけや。

茜が好きなこの店で
なんやゆっくり
茜と話がしたなってん。

なぁ…

俺のこと好きか?」



「うん…好きだよ」




「俺も好きや」



「…うん」



「せやから…」



「ん?」







「結婚…せえへんか?」









「…………」

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