好きにさせて
第15章 決断
茜は
逃げるように
うつむいたりはせぇへんかったけど
少し微笑みながら
困ったような顔をして
口を閉ざした
まぁ
それも予想通りや
「わかってんで。
色々気にかけてくれてること。
けど
その気にしてくれてること
ちゃんと話さへんか?
俺は…」
茜の腰に手を回し
優しく茜の髪にキスをしてから
話を進めた
「茜が嫌なら
何が何でも結婚しようとしてる
訳やないねん」
「……」
「これからのこと
ちゃんと話したいだけなんや。
このまま
茜の親父さんに
なんの挨拶もせんのも
俺は気になってるしな」
「…うん」
「今日は時間もあるし
ちゃんと話しせぇへんか
ここやったら
茜の母ちゃんも
聞いてくれてる気いするし…
茜の母ちゃんも
心配してる思うで?」
「……うん」
茜は
少し目を潤ませて
『うん』
と、返事をすると
目の前のお猪口に入ってる
酒に口を付け
ふーーっと息を吐いた
「そない緊張せんでも(笑)」
「緊張してる訳じゃないの。
尚には
敵わないな…と思って」
「ん?」
「ほんとに
なんでもバレてるなーって(笑)」
「そないなんでも
いう訳ちゃうで(笑)」
「そう?」
「エッチしてる時
茜が俺に
どうして欲しい思うてんのかは
わからへん(笑)」
「もう」
茜は
そう言って俺を肩でこづくと
クスクスと笑った
「茜」
「ん?」
「俺の親のこと
気にしてんねやろ?」
俺は茜と同じ
ひとりっ子
せやから
子孫を残せない自分が
結婚相手になることを
祝福されるわけがないと
思うてるはずや
「…うん…
尚は
私を選んでくれたけど
尚の両親が
私を選んでくれたわけじゃないから…」