好きにさせて
第15章 決断
「あぁ、せや
引っ越しのことやけどな」
「うん」
「せっかくやから
中途半端なとこやのうて
新居くらいの気持ちで
探さへんか?」
「どうして?」
「もしな、
もし結婚しても
茜は親父さんと同居は嫌やろ?」
「うん」
「俺の方かて
両親まだ元気やし
俺の交代勤務がウザい言うんやから
しばらく同居はせえへんやろ。
せやから
結婚してもせぇへんかっても
茜の実家に近うて
親父さんの世話しやすい場所で
部屋数多いとこにせえへんか?
そうや
実家と小夜の中間くらいでどうや」
「それは…助かるけど
尚、会社遠くなるじゃない」
「かまへんよ。
俺どうせ車やし
5分くらい違うだけやで」
「いいの?」
「それがええんや。
茜もそれでええか?」
「じゃあ…うん」
「それから…」
「それから?」
「お互いの親には
会うた方がええんやないか?」
「…引っ越すなら…そうだよね」
「茜の方は問題ないやろ?」
「うん、大丈夫。
尚ならいつでも
会わせられるよ」
「ありがとうな。
俺の方はまぁ…
茜が小学校の時に
遊びに来てた茜やて分かったら
驚くやろなぁ(笑)」
「そうだね…
ちょっと恥ずかしいけど(笑)」
「ちょっとだけでええから
親に顔見せてくれたら
俺が後から
茜の身体のこと話してもええし」
「…うん」
「結婚のことは…
それからでええんちゃうか?
俺の親がどう言うか
聞いてからで」
「うん……でも正直…」
「ん?正直なんや?
なんでも言う約束やで?」
「うん…
尚の両親が
子供のこと気にしないって
言ってくれたとしても
私は
気にするけど」
「その時になってみんと
分からへんで?
茜も気い変わるかもしれへんしな。
駆け落ちしてでも
俺と結婚したいーーーて
言い出すかもわからん(笑)」
「クスッ(笑)
尚?」
「ん?」
「私ね
今でも思ってるよ。
尚と
このまま
駆け落ちしたいって」
「茜…」