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好きにさせて

第17章 最終章…好きにさせて


Side 尚


茜が
ホッとしたのなら

…ほんまに良かった


思わず涙が溢れ
俺は
茜を抱きしめたまま
泣いてしまった

そして
涙が落ち着くと
ふっ…と
眠ってしまいそうなほどの
安心感に包まれていた


茜も一緒やろうけど

正直
ここ数週間は
よう眠れんままやった


ほんまは
俺が答えを出さずに
茜の好きなように
させてやりたかった

けど

やっぱり茜は
どこまでも
甘えることのできない性格

俺の親に反対されていない今
茜が
結婚を先延ばしにしたいと
俺に言うとは思われへんかった


せやから
俺が答えを出したんや


茜の肩を
軽くしてやりたかった

あの細い肩に
ずっしりとのってる
全ての悩みを
一回全部取り除いて
ゼロにしてやりたかった


それで
俺の出した答えは

『結婚の先延ばし』

やったんや



「茜」


「ん?」


「今日は泊まれるんよな?」


「うん」


「ほな、帰ろか」


「うん」


「帰って
ぐっすり寝よ」


「うん」


「あ、その前に」


「ん?」



「茜に
プレゼントしたいもの
あんねん」



「え?
い、いいよそんなの
私はもう十分」


「ええねん。
頼むからもろうてくれ」


「でも…」


「俺も欲しいもんやねん。
せやけど
俺、選ばれへんから
茜に選んでもらいたいんや。
頼むわ」


「それって…何?」


「それは内緒や。
さ、店閉まってしまう前に行くで!」


「な、尚っ」

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