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好きにさせて

第1章 メアド


「なぁ藤沢
こいつ、誰かわかるか?」


平田は
後に入った俺の腕を掴み
自分の前に俺を突き出した


「ちょ、何すんねん」



「え?!もしかして・・
もしかしてもしかして!

野崎…尚樹?」



「なんでそこ
フルネームやねん」


「うわ、すげー
一発で当ててる!」


「だって関西弁だし!
変わってないし!
わぁ、すごい久しぶりーー」


「変わってないって
俺らもう37やで(笑)」


カウンターの中の茜は
歳のせいか
昔より優しい雰囲気で
楽しそうに笑っていた


「おう、ほんま久しぶりやなぁ」


「いやー関西弁懐かしー。
さ、座って座って!
どうしたの?帰省?
お家で何かあった?
変わってないね~」


客が誰も居ないからか
茜ははしゃぎながら
矢継ぎ早にまくしたてた


「まぁまぁ落ち着けって。
野崎は転勤が終わって
こっちに戻って来たから
これから何回でも会えるし
だからそんな焦んなって」


平田は何度もこの店に来てるのか
茜に何の確認もしないまま
カウンターに座り
茜をなだめた


「そっかーそうなんだ~
帰ってきたんだぁ。
じゃあとりあえず・・」


茜は
昔と変わらない
ちょっとふんわりした返事をしながら
平田の隣に座った俺に
視線を合わせた


「あ、せやな
ビールでえぇわ」


「うん、わかった」



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