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好きにさせて

第1章 メアド


それから俺達は
久々の再会に乾杯し
高校まで同じ学校に通っていた
腐れ縁の平田と俺が
茜の店に来た経緯を説明した


「俺がこっちに戻って来たから
今日は二人で飲みに出かけてたんや。
久しぶりに会うたら
平田の腹が出ててびっくりしたわ(笑)」


「言うなよそれ~。
けど世の中のおっさんはこんなもだって。
なぁ、藤沢」


「そうね~(笑)」


茜の母親の店は
「小夜(さよ)」
という名前で
こじんまりとした店だった

俺の小さい頃の予想と反して
全く怪しい雰囲気はなく
小料理屋という感じで

カウンターの中の茜は
そこには似つかわしくない
白いシャツを着ていて
まるで…
どこかの美容師のようだ


「藤沢」


「なに?」


「俺なんかより
野崎はいい客になると思うぜ?」


「そうなの?」


「独身貴族だからな」


「そうなんだ」


「貴族ちゃうけどな(笑)」


「してないの?結婚」


「してないねん。
なんやハードル高いみたいで
俺と一緒になってくれる女が
おらへんねん」


「なにそれ(笑)」


それから一時間くらい
三人でなんでもない話をしていたけど
嫁も子供もおる平田が
時計を気にし始めたのをきっかけに
俺達は店を出ることになった

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