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桜花楼の恋

第9章 甦った記憶

横「一か八か話してみるか、それで駄目だったら他の方法を考えればいい」

宮「いざという時には俺がやりますよ、ニコッ」

玉「それは遠慮しとく」

宮「どうして?」

玉「どうしたもこうしたもない!」

宮「んっ?」

玉「分からない宮田の鈍感」

宮「はぁ?」



実の兄さまと義理の兄上が、たとえ芝居とは言えデキてるだなんて冗談じゃない。

なんで分からないの、そんな2人の兄を持った弟の複雑な気持ちが。



横「クククッ」



しかし、いったい何が受けたんだか?わたは必死で笑いを堪え俺は無性に腹が立って来る。



玉「わた!」

横「ぁ…すまん‥クククッ」

玉「うっ」



もういい勝手にすれば。



横「じゃ用があるときにはニカにでも言ってくれ連絡がつくようになっているから」



それから━

わたはミツを買うため郭へと向かい、俺は独りで屋敷へと戻った。



藤「タマ、どこへ行ってたんだよ?」

玉「散歩、ニコッ」

藤「ふーん最近やけに出かけるな?」

玉「そう?気のせいだって、あっ、俺がいないと寂しいんだ?ニッ」

藤「ばっ、バカ!そんなんじゃねぇ」



嘘ばっか、クスッ

表面上には見せないけど、本当は甘えん坊さんなくせに。

だから、ミツみたいな人に惹かれるんじゃない?



北「へぇーそれで、おまえタマって言うんだ?しっかし宮田の弟とは驚いたぜ」

玉「俺はこれから何て呼んだらいい?」

北「ミツとでも、ニコッ」

玉「宏光だからミツ?」

北「あぁ、嫌か?」

玉「うぅん、そんなことはないタマとミツなんかいい感じがする、フフッ」



あの日、俺はミツと約束を交わした。

いつか、そう郭を出られたら一緒に旅に出ようって。



北「どこへ行きたいっていうんで?俺と、クスッ」

玉「尾張、ニコッ」

北「‥‥っ」



一緒に暮らそう、本当はそう言いたかったんだ俺とガヤの3人で。

本気でいるから、それまで負けずに頑張ってって。

絶対にみんなで力を合わせ、ここから助け出してみせると心に誓い。




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