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桜花楼の恋

第9章 甦った記憶

塚「でも、そんな事になったら2人は二度と」



だから、是が非でも防がなければならないんだよ。



五「どうする気?横尾」

横「策は既に考えてある」

塚「どんな?」

横「当日、運のいいことに町人たちの人気を聞きつけ宮田一座が老中をもてなすため屋敷へ呼ばれる事となった」

河「すっげぇじゃん、あいつこりゃ驚いたわ」

五「あぁ」

横「そこへ戸塚太夫を潜り込ませ太輔とデキてるふうに見せかけるって寸法さ」

河「はっ?」

戸「俺?」



悪いが郁人、少しのあいだトッツーを貸してはくれないか。



河「ちょ、待てって!」

ニ「でも、どうやってここから連れ出すんだよ」

塚「郭を抜けさせる気?」

横「いや、健永」

千「なに横尾さん」

横「明日、俺と一緒にお前の親父さんを説得してくれない協力してくれるよう」

千「うっえぇー無理だ、いいって言うわけないじゃん」

横「これは宮田の案だ」

千「‥‥っ」

横「お前の親父は悪いやつじゃない話せばきっと分かってくれる、そう言ってた」



それに━



横「上手く行けば」

塚「藤ヶ谷の男色好みが老中にバレ話しはご破算となる」

河「だっ、だからって」

五「郁人、2人の為だろ」

戸「俺はやるよ」

河「トッツー」

戸「あんな北山、見てられないし クッ」

河「…そう‥だな」

ニ「千賀お前は?」

千「わっ、分かった!やるミツとガヤさんの為に」

横「よし決まり」



ミツ、聞いた?

お前は幸せもんだ、こんなにも思ってくれる連中が傍にいてさ。

いい夢を見ろ…

せめて、その中では太輔と会えるような。

そして、必ずそれを俺が現実にしてやる。

その日が来るまで、身代わりとして傍にいるから役不足かもしれないけどさ。

そう思い、再び俺は優しくその身体を包み込む。

泣きたくなったら何度でもこの胸を貸してやると、心で呟きながら。




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