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桜花楼の恋

第9章 甦った記憶

・藤ヶ谷side

あれは、一体どういう意味だったのか?



北「藤ヶ谷!」



目の前に小さな北山がいた、子供の頃の自分の眼の中に。



藤「北山、ギュッ」



抱きしめ頬を寄せ接吻し、その潤んだ瞳が俺を見つめ。

そしたら、俺達は今の自分の姿になっていてよ。

暗示?



丸山「なぁーにボーッとしてはるんですか若さん」

藤「うわっ、丸!?」

丸山「なんや今さら驚くことでもないやん」

藤「ぁ…悪い‥ハハッ」

丸山「それよりどないしたんです?」

藤「んっ?夢を見たんだ小さいときの」

丸山「いつもの?これまた随分と久々な」

藤「丸、お前なにか知っているだろ?」

丸山「ギクッ、なっ…なぁーんも知らへんで‥アハッ」

藤「言え主の命が聞けないとでもいうのか」

丸山「そっ、そんなん怖い顔して睨まんといて下さい」



わたが北山を。



藤「あいつうぅー」

丸山「訳あってした事や」

藤「分かっている!」

丸山「ひっ」

藤「陰でコソコソと俺には内緒で、クッ」

丸山「それも」

藤「わたが何を考え、そういう事をしたかくらい大体の見当がつく」

丸山「なら、どうしてそんなん怒ってはるんです」

藤「怒ってねぇ」

丸山「怒ってるわ完璧」



俺は━



丸山「もしかして自分に腹を立ててるのとちゃいますか」

藤「くっ」

丸山「後悔してるんでっか?」

藤「泣いてたんだよな北山、俺が泣かしたようなもんじゃん」



あの北山を。



丸山「それ言ったら、わいも同罪や」

藤「丸?」

丸山「あの時もっと早よう見つけてさえいたら」

藤「その事はもういいって言ったろ?」

丸山「そやかて、クッ」



丸山 隆平━

西から、わざわざ俺の傍に付きたいと忍び頭のところへ来たという。

なんでだか理由は知らない、ただ一緒にいるうち胸の内を悟られ。

気がつけば、翔と北山を捜し始めていた。



横「見つかったよ太輔」

藤「本当か」

横「あぁ丸が捜し当てた、が…」

藤「なに?」



既に、北山はあの女衒の源太とかいう奴に遊郭へ身売りする事を返事してしまっていて。



藤「かっ、金か!いくらだどのくらい用意すれば助けられる!なぁーわた」



北山、俺にはこうするしか道がなかったんだよ言い訳になっちまうけどさ。




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