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桜花楼の恋

第11章 心の架け橋

丸山「一難去ってまた一難とはよく言ったもんや」

藤「丸…」

丸山「どないしはるんです若さん?」

藤「いっそうのこと勘当にでもして貰った方が」



んっ?勘当。



丸山「うわっ、またよからぬことを考えてはるわ」

藤「やってみるか、ニッ」

丸山「わわっ、本気やで」

藤「ただ黙って言いなりになるんだったら逆らうだけ足掻きまくってみるのも手かもしれない、クスッ」

丸山「そんな手あらへんわ」

藤「よし、どうやって抜け出すか?まずは策を練ってから行動に移そう、ニッ」

丸山「若さーん、ハァ」



元気にしているか?北山。

俺は自分がなんの力もない奴なんだって今、嫌ってほど思い知らされているよ。

家柄にひれ伏されても、それは人徳を認められてのことじゃないんだって。

虚しいよな。

けど、お前や郁人たちは身分など関係なく俺と接してくれ嬉しかった。

が、いずれ自分は尾張を治めなければならない身。

これだけは、変えることができない。

ならば、その上で北山と一緒に歩いて行ける道を俺は自分なりのやり方で探してみるつもりさ。

ただ、その前にもう一度会いに行く。

そしたら今度は、本当にいつ会えるか分からないから。

月日が経てば、周りの状況も変わり何か打つ手が見つかるかもしれないし。

今は、それに望みを賭けるしかない。

そんな想いで俺は、庭先から部屋へと射し込む陽の光りを見つめていた。

必ず道は開けると信じ━




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