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桜花楼の恋

第2章 最初の試練

千「おはよ宏光」



あの日から何故だか千賀は毎朝、俺の部屋へ来るようになっていた。



北「また来たん?」

千「今日はどうしても話しておきたいことがあったからさ、ニコッ」

北「なんでぇ?」

千「全ての客が男娼の身体だけを目当てに来ているわけじゃない」

北「はっ?おまえ何が言いたいんだよ」

千「宮田からの受け売り」



ふーん、フッ



北「で、その意味は?」

千「中には心底惚れ込んでくれる客だっているはずだ」

北「だから、それがなんだっていうんで?する事に変わりはないさ」

千「そんな事はない心があれば愛情だって沸く」

北「愛情ねぇ、フッ」



そして、宮田節を俺に話して聞かせる。



北「悪いが俺は男色じゃないし男に惚れるだなんてあり得ない話だ」

千「でも、そういうやつと出会えたら支えになる」

北「トッツーみたいにか?んなの辛いだけじゃん」

千「俺は、ただ」

北「なんで?」

千「宏光の心が壊れて欲しくないだけなんだ」

北「俺は大丈夫だって」



ありがとな千賀、お前は本当に優しい奴だわ。

こんな郭の当主になるなんて相応しくないくらいに。

だが、どう足掻いたって汚れて生きて行くしか今の俺には道がないんだよ。

覚悟はしていた、でも本当は嫌で堪らない出来る事なら今すぐにでも逃げ出したいくらいに、クッ

だから今日の俺は、お前の気持ち素直に受け取れる余裕なんてないのさ

悪い、クッ



戸「北山、目を瞑って嵐が通り過ぎるのを待つ、それしかない」

北「トッツー」

戸「泣きたくなったら俺の胸…貸すから‥だから」

北「心配すんなって俺はそんなに弱くはないし」

戸「でも、クッ」



それより、お前の方が泣きそうな顔をしているじゃん。



番頭「用意は出来たか?」



店だしの前、風呂に入った俺は女みたいな着物を着せられ。



番頭「ほぉー桃色の着物がよく似合っている、こりゃイケるぞ」



それから、広間へと連れて行かれて。



番頭「さてさて、お待たせ致しました本日 初物 お披露目しますは北山宏光、御歳17才どなた様もよーく御覧になって下さいまし」



どいつも、こいつもイヤらしい眼をし人のこと見ていやがってよ男を抱いて何がいいんだか。




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