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桜花楼の恋

第14章 新しい仲間

そして、思いもかけないことを口にするものだから驚いてしまう。



亀「とは言ってもまだ交渉中だけど、フッ」

藤「なっ」

亀「そこまで行くには月日が掛かる、それでもいいっていうのなら」

藤「どのくらい?」

亀「春にはなんとか」



あと数ヶ月、ふん張れと言いたいわけ。



亀「どうする?」

藤「分かった乗るよ」

亀「よし、ニコッ」



他に手がないのなら、それに賭けるしかない。



亀「しかし、いい仲間を見つけたじゃん」

藤「あいつらのこと?」

亀「羨ましいや」

藤「‥‥っ」

亀「まっ、それが お前のいいところでもあるんだけどな」

藤「‥‥‥」

亀「分け隔てなく誰とでも仲良くなってしまう俺もそんなふうに出来たら、時々そう思うときがあるんだ」



“亀梨和也”

俺とは違い、家柄に縛られることを苦には思わず。

生まれ落ちた定めに従い、民や家臣たちにも慕われている。

いわば、理想の城主。



亀「けど人にはそれぞれ役割・責任っていうものがあるだろ?ニコッ」

藤「俺にだって、それくらいは」

亀「しかし、お前はそれも弁えた上で自分の意志を貫き通そうとしている」



自分にはそれが出来ない、だから羨ましいんだとカメは言った。

そんなふうに、見ていただなんて。



亀「頑張れよ応援している」

藤「ありがと、フッ」



知らなかった。



亀「じゃ取り合えずは帰るわ」

藤「北山に会いに来たんじゃないの?」

亀「お前のいない時にまた来ることにするよ、クスッ」

藤「はあっ?」

亀「ぷっ、そんな顔をするなってば」

藤「だっ、だってさ」

亀「心配しなくても俺にその気はないし」

藤「ぁ…うん‥まぁ…」

亀「向こうが惚れたら話しは別だけど?クスッ」

藤「なっ」

亀「自信ないの?」

藤「そんな事はない、あいつが俺以外のやつに惚れるだなんて絶対」

亀「なら気にすることないじゃん、ニコッ」

藤「うっ」

亀「クククッ」



やっぱり、こいつには勝てない。

が、カメが参戦した事で俺と北山の先に陽が射し込んだ事は間違いなく事実なわけで。

これでまた益々、頭が上がらなくなってしまうんだろうな。

そう思いながら、トッツーの部屋へと戻って行ったんだ。

やって来る春を予感しつつ━




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