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桜花楼の恋

第15章 希望を胸に

宮「分かった?キタミツ」

北「何が?」

宮「こんな親子だから桜花楼は人気の高い郭になったんだよ」



ふっ、そうか情の厚い2人だからこそ男娼達は、その下でいい働きをし周囲からも好かれ。



宮「他ではそうはいかない」



俺は運が良かったのかもしれない、ここへ来て。

初めて、そう思う。



塚「さぁー出発だよ」

番頭「門を開けろ」



ギィーッ、陽の光りを受け外界へと繋がる扉が開く。

と、そのとき。



丸山「パァーン」

五「へっ?」

千「丸ちゃん」



こいつ、藤ヶ谷の…

いきなり現れた丸山隆平が両手を広げ。



丸山「皆さんお手を拝借」



突然のことに茫然とする俺・トッツー・五関、その横で。



河「ぁ…あぁ‥」

千「はいよぉー」

宮「うわっ、こっ、こう」

塚「いいね、いいねぇ」

橋「楽しそーう、んふふ」

ニ「アホくさ、フッ」



釣られて訳が分からず手を広げる河合に宮田、ノリノリの千賀・ハッシー塚ちゃん。

呆れ顔のニカ…ぷっ、なんなんだこの光景は?クククッ



丸山「皆さん元気にぃーよおっ」



パパパン、パパパン、パパパン、パン!



丸山「おめでとうございまーす、わっはっは」



シーン!

どうすんで?このシラケた空気をよ。



河「じゃ…じゃあ‥行こうか?クスッ」

戸「うん、ニコッ」

橋「みんな元気でね、ニコッ」

旦那「良亮!」

橋「なに?」

旦那「悪戯ばかりしていないで五関の若旦那に可愛がって貰うんだぞ」

橋「はい、ニコッ」



が、こうしてトッツーとハッシーは笑顔で遊郭街を去って行き後に残された俺達は。



旦那「くっ…うぅ‥」

千「泣くな親父、クスッ」

旦那「泣いとらん、グスッ」

千「鼻水ジュルジュルぅ」

旦那「健永!」

千「あはははっ」



ふっ、似たもの親子とはよく言ったもんだわ。



亀「行ったか?あの2人」

北「あぁ」

亀「なら気持ちを切り替え太夫になる準備を始めるぞいいな北山」

北「分かっている」



約束は約束だかんな、もうトッツーと河合はいない俺は自分の力でこの場を乗り切って行かなければならないんだ。

補佐してくれる皆の心を裏切らないよう、しっかり地に足をつけ歩いて行くさ藤ヶ谷もう一度お前の腕の中に包まれたいし、俺は。




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