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桜花楼の恋

第15章 希望を胸に

・横尾side

そう、無事に郭を出たんだ。



高田「しかし、これからです宏光殿はまだ」

横「分かっている引き続き様子を知らせてくれ」

高田「はっ」



シュッ!

良かったなトッツー、ハッシー。

悪いミツ、傍にいると約束しておきながらこんな事になってしまい。

が、必ず駆けつけるから。

それまで踏ん張って、なんとか乗り切ってくれ。

あれは、数日前。



玉「わたっ、ああっ、そこいっ、はあっ」



いつものように、俺達は人目を忍び抱き合っていた。

そこへ━



殿「まさかとは思っていたが誠であったのだな」

玉「ちっ、父上!」

横「殿!?」

殿「そこへ直れ手打ちにしてくれる」

玉「ダメっ」



ギュッ!



玉「わたを斬るなら俺も自害する」

殿「くっ」

横「よすんだ裕太」

玉「でも」

殿「こやつらを引き離せ」

家臣「かしこまりました」

家臣「ささっ、若君」

玉「やだ、わた、わたぁ」



覚悟はしていたとはいえ、裕太の悲痛な声は俺の心を深くえぐり。



殿「取り合えず座敷牢で謹慎しているがよい、おってさたを申し渡す」

横「はっ」



バレたのは家来衆の1人が密告した為と聞く庭園にいた俺達を見て。



家臣「あの2人あやしゅうございます若君のジャレつきようはまるで惚れているかの御様子」



不審に思い。

まぁ、時間の問題だったのかもしれないが。

それにしても早い、筆頭家老である俺の父上をあまりよく思わない連中の仕業か。

藩の中では珍しくない話、いわゆる権力争いってやつだ。

どこの大名の内部でも起こり得ること、しかし参った。

これからどうしたら、一番大事な時に自分が動けなくなるとは。

が、そのとき。



家臣「渉殿、出られい殿がお呼びである」



殿が?って事は俺の処分が決まったってわけ。

ならまずは、自分がどうなるのかを聞いてから行動を決めるとしよう。




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