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桜花楼の恋

第17章 過去の幻影

・玉森side

ひょんな事から千賀が仲間に加わり、俺達は順調に加賀を目指し旅を続けていた。



母「追っ手、来ませんね」

父「あぁ、かえってそれが不気味に感じる」



確かに。



宮「千ちゃーん、そっちじゃなくてこっち」



俺がいなくなったのが分かって、父上はどうしたのか。



千「だってよ、いい匂いがするんだもん」



母上は既に尾張へと戻っていたから、怒る父上をなだめられる者は傍にいないはず。

このまま放っとくわけ…



母「猟師が何かの獣でも焼いているのでしょう」

父「山道ではたまにあること気を取られず先へ」

宮「千ちゃん」



ダッ!

バカ、行っちゃったよ千賀のやつ。

慌てて追いかける宮田。

もぉー面倒かけて、ホントやんちゃなんだから兄さまも大変だね、クスッ



父「仕方がない少し道はそれるが」

母「あそこで一息、入れましょう」



しかし、こう度々暴走されると付き合う俺達も参っちゃう。これで何度目?フッ

俺と違って郭の息子だった千賀は、江戸から外へ出た事がなく。



千「うっえぇーっ、なんだこりゃあ」



自分も歩いての旅は初めてだけど。



宮「イノシシさ誰か近くにいるんじゃない」



いつもは篭に乗っているし、まぁ見るもの聞くもの全て珍しいのは分かるよ、でも

と、その時だった。



山本「裕太さま」

丸山「ヤバい囲まれとる」



えっ!

この2人の声が聞こえたかと思うと。



父「なっ、なんだね!?あなた方は」

母「山賊…ですか‥」

千「宮田!」

宮「千ちゃん、ギュッ」

玉「違う!キッ」

宮「タマ」



俺は、咄嗟に隠し持っていた刀を構える。




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