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桜花楼の恋

第17章 過去の幻影

玉「江戸へ帰れってこと」

屋良「いや俺は別に尾張に仕えているわけじゃないから」

玉「じゃ」

屋良「偽でも若君は若君」

山本「屋良にぃ、まさか」

宮「人質!」

千「うえっ!?」

屋良「ふっ」



それから━



母「これから、どうなるのでしょ私たち?」

父「とにかく逆らわぬことだ多勢に無勢では、かなうわけがない」



ごめんなさい俺が我が侭を言ったばかりにこんな事になってしまって、クッ



千「宮田…」

宮「だいじょうぶ大丈夫だよ千ちゃん」



ギュッ!

連れて行かれたのは、掘っ建て小屋みたいなところ。

そこで…



山本「裕太さま、お話しが」

玉「あの頭のことだね?」

山本「はい」



俺は亮太から、その話しを聞く。

昔、そう遠い昔。

忍びは大名たちの権力争いに巻き込まれ多くの仲間を失った。

仕える相手によっては、身内同士で戦うことも珍しくはなかったらしい。



山本「屋良にぃの先祖は」



驚いたよ豊臣と徳川の争いなんて、俺達にとっては遙か遠い過去のことだったから。

それが、平和になった今でもその事で苦しみ辛い思いをしている人達がいただなんてさ。



山本「だから大名が嫌いなんです、けど本当は」



根は優しく人情に溢れた人なんだと。



玉「分かった、ニコッ」



なら変えることが出来るはず、その病んだ心を癒すことだって。

そうでしょ?ミツ

俺やってみる、もしかしたら試されているのかもしれないし。

神という名の人に━

自分の器がどの程度のもので相手に通用するかは分からないけど。

それでも…

きっと、そこに何か意味があるような気がしていた。

これから生きてく上で━




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