桜花楼の恋
第20章 粋な計らい
・藤ヶ谷side
それは、突然の登城だった。
「如何なされました加賀殿?」
「尾張殿に聞きたいことがあってな」
「なんであろう?」
「我が姫を太輔殿の御台所にという話しを持ちかけておきながら何故に他の藩の姫御にまで声を掛けておられるのだ」
「それは」
「町人の出の姫ては不服だと?」
「めっそうもない太輔が気に入りさえすれば」
「誠か?」
「嘘はつかぬ」
「それを聞き安堵した」
「そのような事でおいでになったのか?」
「いや少々、太輔殿をお借りしたいと思ってな」
「んっ?」
遠乗り?
「夜にはお戻し致す宜しいか?」
「分かり申した、フッ」
パカッ、パカッ、パカッ、それから意図が掴めないまま俺は加賀の殿に連れられ。
「あそこじゃ」
向かった先、そこは国境近くにある神社の境内。
「私からの土産とでも思ってくれたらよい、フッ」
その一角に、こじんまりと佇む小さな家。
「夕刻にまた来るゆえ心ゆくまでごゆるりと過ごされよ、ニコッ」
パカッ、パカッ、近づけば。
京本「お待ち致しておりました尾張の若君」
藤「お前たちは?」
安井「我ら加賀の忍び5人衆」
藤「なっ!?」
まだ年端も行かない、5人の小姓たちが出迎え。
岩橋「中で姫様がお待ちです」
まっ、まさか。
萩谷「ご心配は無用にござる」
岸「全ては殿と我らが主、若君の命によるもの」
京本「刻限が来るまで外で見張っておりますゆえに」
藤「‥‥っ」
ダッと飛び込んだ、次の瞬間。
藤「北山!」
叫んだと同時に、振り向いた愛しい姿が目の中へ入って来て。
北「藤ヶ谷!」
これは夢か幻か?ギュッ
北「会いてかった会いっ」
藤「チュッ」
交わす口づけが、現実であることを証明してくれる。
ドサッ!
それは、突然の登城だった。
「如何なされました加賀殿?」
「尾張殿に聞きたいことがあってな」
「なんであろう?」
「我が姫を太輔殿の御台所にという話しを持ちかけておきながら何故に他の藩の姫御にまで声を掛けておられるのだ」
「それは」
「町人の出の姫ては不服だと?」
「めっそうもない太輔が気に入りさえすれば」
「誠か?」
「嘘はつかぬ」
「それを聞き安堵した」
「そのような事でおいでになったのか?」
「いや少々、太輔殿をお借りしたいと思ってな」
「んっ?」
遠乗り?
「夜にはお戻し致す宜しいか?」
「分かり申した、フッ」
パカッ、パカッ、パカッ、それから意図が掴めないまま俺は加賀の殿に連れられ。
「あそこじゃ」
向かった先、そこは国境近くにある神社の境内。
「私からの土産とでも思ってくれたらよい、フッ」
その一角に、こじんまりと佇む小さな家。
「夕刻にまた来るゆえ心ゆくまでごゆるりと過ごされよ、ニコッ」
パカッ、パカッ、近づけば。
京本「お待ち致しておりました尾張の若君」
藤「お前たちは?」
安井「我ら加賀の忍び5人衆」
藤「なっ!?」
まだ年端も行かない、5人の小姓たちが出迎え。
岩橋「中で姫様がお待ちです」
まっ、まさか。
萩谷「ご心配は無用にござる」
岸「全ては殿と我らが主、若君の命によるもの」
京本「刻限が来るまで外で見張っておりますゆえに」
藤「‥‥っ」
ダッと飛び込んだ、次の瞬間。
藤「北山!」
叫んだと同時に、振り向いた愛しい姿が目の中へ入って来て。
北「藤ヶ谷!」
これは夢か幻か?ギュッ
北「会いてかった会いっ」
藤「チュッ」
交わす口づけが、現実であることを証明してくれる。
ドサッ!