桜花楼の恋
第21章 最後の試練
殿「ところで嫁を貰ったそうだが」
亀「春になる少し前に」
奥「仲ようしていますか」
亀「はい、ニコッ」
上座にいる藤ヶ谷が、その姿をジッと見つめている。
奥「では早よう良い子を」
亀「そのように思っておりまする、フッ」
そう、その調子。
殿「隣におるのが宏姫か」
亀「はっ」
まだだよ北山。
殿「家老の話しによれば可愛らしい姫と聞く」
亀「恐れ多いことで」
殿「が、それでは顔がよく見えぬな。もちと面を上げよ」
北「‥‥っ」
奥「ささ恥ずかしがらず」
亀「姫」
加賀の若君が、促すように北山に声を掛け。
よし、今だ。
ゆっくり、ゆっくりと周囲の視線を一身に集めながら顔を上げた瞬間、瞳をパッチリと見開く。
藤「‥‥っ」
あちゃー藤ヶ谷、茫然とし過ぎだって。
五「あれじゃモロ顔に出てるよ、アハッ」
真っ先に反応した姿に、思わず五関が呟いた。
殿「これはなんと愛らしい姫じゃ、のう御台」
奥「誠に」
“やった”
俺の隣で、河合が手を握りしめ小さく膝を叩き五関は含み笑いを浮かべる。
眼で頷くハッシーと二階堂、これが加賀の殿様に授けられた策だったんだ。
他の姫さま方は場慣れしているから、逆に初々しさで勝負しろと。
が、毅然さを失わずに。
殿「見よ太輔の顔を」
奥「ほんにボーッとして」
藤「ぁ…ハハッ」
しかし、それが幸をそうし。
殿「どうやら、一目で気に入ったようだの」
奥「んふふっ」
チラッ、チラッと藤ヶ谷が見るたび恥じらうかのように目を逸らす北山。
亀「春になる少し前に」
奥「仲ようしていますか」
亀「はい、ニコッ」
上座にいる藤ヶ谷が、その姿をジッと見つめている。
奥「では早よう良い子を」
亀「そのように思っておりまする、フッ」
そう、その調子。
殿「隣におるのが宏姫か」
亀「はっ」
まだだよ北山。
殿「家老の話しによれば可愛らしい姫と聞く」
亀「恐れ多いことで」
殿「が、それでは顔がよく見えぬな。もちと面を上げよ」
北「‥‥っ」
奥「ささ恥ずかしがらず」
亀「姫」
加賀の若君が、促すように北山に声を掛け。
よし、今だ。
ゆっくり、ゆっくりと周囲の視線を一身に集めながら顔を上げた瞬間、瞳をパッチリと見開く。
藤「‥‥っ」
あちゃー藤ヶ谷、茫然とし過ぎだって。
五「あれじゃモロ顔に出てるよ、アハッ」
真っ先に反応した姿に、思わず五関が呟いた。
殿「これはなんと愛らしい姫じゃ、のう御台」
奥「誠に」
“やった”
俺の隣で、河合が手を握りしめ小さく膝を叩き五関は含み笑いを浮かべる。
眼で頷くハッシーと二階堂、これが加賀の殿様に授けられた策だったんだ。
他の姫さま方は場慣れしているから、逆に初々しさで勝負しろと。
が、毅然さを失わずに。
殿「見よ太輔の顔を」
奥「ほんにボーッとして」
藤「ぁ…ハハッ」
しかし、それが幸をそうし。
殿「どうやら、一目で気に入ったようだの」
奥「んふふっ」
チラッ、チラッと藤ヶ谷が見るたび恥じらうかのように目を逸らす北山。