桜花楼の恋
第21章 最後の試練
殿「よいよい雰囲気じゃ」
それを見て嬉しそうに頷く尾張の殿、上手くいったみたい後は。
殿「姫、その指はどうしたのだ?」
とたん殿様は、北山の傍へ近づくと。
殿「なんと痛々しい白く綺麗な手が傷だらけではないか」
その手を持ち上げ、再び俯く北山。
殿「どういう事だ和也殿」
亀「実は皆さま方ご存知のように我が妹は町人の出、他の姫さま方のように作法や習い事はして来ておりませぬ」
だから━
亀「ここ数日、尾張へ来てからというもの必死で学び」
殿「ではこの手は?」
亀「琴をお聞かせしようと毎日、指に傷が出来ることもいとわず」
殿「なんと」
奥「いじらしいことを」
実際それは本当の事だった、藤ヶ谷と添いたい北山はあの日の逢瀬で更に想いを強くし。
戸「もうやめなって」
北「あともうちと、クッ」
戸「北山!」
北「頼む、やらせてくれ」
戸「‥‥っ」
俺は、止めることが出来なくてさ。
北「ポロン…いっ‥つ」
戸「傷の手当てを」
京「はっ」
もう、見てられなかったっけ。
殿「ならば聞かせて貰うとしよう」
奥「そうですね、でも姫ゆっくり焦らず上手く弾けずとも音は心で奏でるもの貴方の想い必ず私どもにも伝わるでしょう」
北「はい」
そうだよ北山、フッ
心配そうに見つめる藤ヶ谷の視線を受け、北山は静かに琴の音を奏で始める。
ポロン、ポロンと。
それは辿々しい音色ではあったけれど、その場にいた全員が温かい眼で見守っていたんだ。
笑みを浮かべつつ━
それを見て嬉しそうに頷く尾張の殿、上手くいったみたい後は。
殿「姫、その指はどうしたのだ?」
とたん殿様は、北山の傍へ近づくと。
殿「なんと痛々しい白く綺麗な手が傷だらけではないか」
その手を持ち上げ、再び俯く北山。
殿「どういう事だ和也殿」
亀「実は皆さま方ご存知のように我が妹は町人の出、他の姫さま方のように作法や習い事はして来ておりませぬ」
だから━
亀「ここ数日、尾張へ来てからというもの必死で学び」
殿「ではこの手は?」
亀「琴をお聞かせしようと毎日、指に傷が出来ることもいとわず」
殿「なんと」
奥「いじらしいことを」
実際それは本当の事だった、藤ヶ谷と添いたい北山はあの日の逢瀬で更に想いを強くし。
戸「もうやめなって」
北「あともうちと、クッ」
戸「北山!」
北「頼む、やらせてくれ」
戸「‥‥っ」
俺は、止めることが出来なくてさ。
北「ポロン…いっ‥つ」
戸「傷の手当てを」
京「はっ」
もう、見てられなかったっけ。
殿「ならば聞かせて貰うとしよう」
奥「そうですね、でも姫ゆっくり焦らず上手く弾けずとも音は心で奏でるもの貴方の想い必ず私どもにも伝わるでしょう」
北「はい」
そうだよ北山、フッ
心配そうに見つめる藤ヶ谷の視線を受け、北山は静かに琴の音を奏で始める。
ポロン、ポロンと。
それは辿々しい音色ではあったけれど、その場にいた全員が温かい眼で見守っていたんだ。
笑みを浮かべつつ━