テキストサイズ

桜花楼の恋

第21章 最後の試練

俺達は、尾張の殿が目の前に来ていた事に気づかなかったのだから。

ヤバい!



殿「はて?どこだったか、しかとは思い出せぬが」



一瞬にして、場に緊張感が漂ったのは言うまでもない。

そう、ここへ来ている俺達の中でトッツーだけは尾張の殿と奥方に会っていた。

江戸屋敷で━

初め加賀の若君は、同行しない方がいいと言ったんだ。



戸「お願いします居てあげたいんです北山の傍に」



けど、この2人が。



北「トッツーは俺が郭に売られたとき一番近くで支えてくれたやつなんだ、こいつが傍にいてくれたら俺は失敗する事なくやり切ることが出来る気がする頼む」



その強い絆を重視した加賀の若君が折れ、それがまさか。



殿「のぉ御台、そうは思わぬか」

奥「他人の空似でしょ」



えっ?



奥「可愛い顔をしている事しかし加賀から来た者である事には間違いはないのですよね」

亀「はい」

奥「なら逆に前に会っていたとしてもおかしくはないと思います」

殿「確かにそうじゃな」



よっ、良かったぁ…ホッ



殿「が、まこと可愛い顔をしておる男色が好みそうな」



その言葉を聞き苦笑いする郁人そして、もう1人。



家老「うっ」



あはっ…



殿「気をつけた方がよい」

戸「はっ」



ともあれ何とか無事、俺達は目的を果たすことができ。



丸山「ならちょっくら行って来ますわ」



丸ちゃんは、宮田一座へこのことを知らせに飛び出して行ってさ。

俺達は、というと。



家老「しばしここでお待ちになっていて下され」



北山が戻って来るのを待ってから、加賀の屯所へ引き上げる事となる。



河「いやぁ一時はどうなるかと思った、ハハッ」

戸「ごめんね」

ニ「気にする事はないよ」

橋「そうだって」

五「奥方に救われたって感じ」

河「だな」

橋「うん」

戸「‥‥‥」



が、トッツーは何だか少し元気がなく。



河「終わり良ければ全てよし、だろ?ニコッ」

戸「ん…まぁ‥」



しかし、その後は何事もなく日が過ぎて行ったことで俺達はこの件のことを忘れてしまい。

それを思い出したのは、ある日とつぜん思わぬ人の訪問を受けたときだった

宮田一座の宿で…




ストーリーメニュー

TOPTOPへ