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桜花楼の恋

第22章 婚礼の日

横「礼なら奥方さまに、あの方が俺を呼び出したんだミツがあることで思い詰めているから頼むと」

北「‥‥っ」



んだか…



北「なぁ」

横「んっ?」

北「藤ヶ谷は俺がそうしたら怒ると思う?」

横「初めは、でも太輔だって分かっているはずだよ」

北「‥‥‥」

横「決心ついたの?」

北「まぁ」

横「いいのか本当にそれで」

北「仕方ないじゃん子なんて俺、産めないし」

横「ミツ」

北「でも、でもさ、その時が来るのがすっげぇ怖いんだ、クッ」

横「おまっ」

北「自分が壊れてしまいそうで嫉妬で嫌なやつになり醜くなって、んで…んでもって」

横「ならないさミツは」

北「…横」

横「俺が保証する、お前は絶対にそんなふうにはならない、ニコッ」

北「くっ」

横「心配しなくても大丈夫だから、ねっ」

北「お前にそう言われると、そうな気がする」

横「だろ?ニコッ」

北「なぁーに自分で言ってるんだか、クスッ」

横「ふっ」



だけど、マジほんと。



横「あと3日か」

北「あぁ」

横「御台さまの口添えで俺も出れることになった」

北「じゃ」

横「楽しみにしているミツの花嫁姿を見るの」

北「あんまジロジロ見ないでくれよハズいから」

横「クスッ」



それから、城へと戻り。



奥「よく決心しましたね」

北「いつ頃?」

奥「婚礼の儀が終わったら、なるべく早いうちに」

北「相手はどうやって」

奥「貴方が捜すのですよ、宏姫」

北「えっ、俺!?じゃなくて私が」

奥「これも御台としての努め自分に子が出来ぬのなら代わりに産んでくれる娘を殿へ献上する、あなたの場合は太輔に」



んな、どうやって捜せばいいんだわ。



奥「女が子を産むとはその娘の一生をも左右するということを忘れずに心して選んで下さいね」

北「‥‥っ」



あり得ない…



奥「まぁ、太輔が自分から腰元にでも手を付けてくれさえすれば貴方がそのような事をしなくて済むのですが」



無理だわな、大名の世界ってめんどくせぇ。

ともあれ婚儀の日は確実に目の前に迫って来ている、俺は取り合えず今は何も考えずにいよう。

そう思っていた、晴れの日を笑顔で迎えたくて。




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