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桜花楼の恋

第22章 婚礼の日

・戸塚side

当日は、眼が眩むばかりの良い天気だった。



戸「北山、髪の毛少し伸びたんじゃない」

北「そっか別に気にしてなかったけどな」

戸「うん、ちょっとだけ」



そんな些細な会話を交わしながら俺は、その綺麗な黒髪に櫛を通す。

思い起こせば桜花楼で初出しの日、こいつの髪を束ねたのも自分だった。



戸「くっ、ヒクッ」

北「トッツー?」



思わずギュッと、その背中へ抱きついてしまい。



北「どうしたんで?」

戸「なんでも…ない‥クッ」



これで良かったんだよね?

胸の奥から込み上げてくる感情に駆られ心の中で問いながら。

そう信じて今日まで自分たちは突き進んで来た、なのに不安が拭えないのは何故?



北「‥‥‥」



すると、北山はクルッと俺の方へ向きを変え。



北「泣くなって笑え、もう会えなくなるわけじゃないんだからさ」

戸「…うん‥グスッ」

北「だいじょうぶ俺はんな柔じゃないし、クスッ」

戸「‥‥っ」



似たような言葉をあの日も聞いたっけ。



北「心配すんなって俺はそんなに弱くはないし」



でも、その通りだった。

激情の荒波を潜り抜けるかの如く北山は、打ちのめされ叩きつけられても立ち上がり。

そうさ、俺達はそんな北山と藤ヶ谷を信じここまで来たんじゃないか。



橋「宏光、綺麗」

北「ハッシー」

河「うっおぉトッツーにも着せてぇ」

北「そこかよ」



河合、ハハッ




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