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桜花楼の恋

第3章 つかの間の休息

ニ「なんだ、それ」



あっ、益々へこんでしまった。

どうやって慰めたらいいのだろ参ったな、ハァ



ニ「取り合えず俺、今日は帰ることにするや」



が、そう言ったニカに俺はひとまずホッと胸を撫でおろす。

しかし、次の瞬間。



ニ「ようはミツに気に入られればいいってことだろ」

千「へっ?」

ニ「よーし策を練って出直しだ絶対にやってやる、じゃあな千賀」



タッタッタ!



千「ちょ、ニカあぁーっ」



ぜんぜん意味ちがうってば。



五「こりゃ当分は諦めそうにないね、クスッ」

千「五関の若旦那」



すると、まるでニカと入れ替わりみたいに五関くんがやって来て。



五「いま郁人とトッーの所へ行って来たんだが無事に北山の初だしが終わったらしい」



宏光、大丈夫だったろうか?ふと俺は心配になる。



五「で、あのお侍さん早速番頭に言って旦那を呼んだんだって」

千「ってことは」

五「あぁ、確実に決まりだろうね」



そっか…



五「当分は郭の中でしけこむ気らしい」



じゃ暫く俺、部屋へは行けないや寂しいけど。

兄弟のいない俺にとって男気あふれる宏光は、頼れる兄貴って感じがして。

だから本心は嫌だった、客に女みたいに抱かれてしまうのが。

郭の跡継ぎの自分がさ、出来るなら助けてやりたいと何度 思ったことだろう。

今回ほど、なんの力もない自分が嫌になったことはない。

ごめん本当にごめんね、クッ

人は、どうして過酷な道を歩まなければならないのか。

お願い戻って来てよ、宮田。

俺は無性に、あいつに会いたくなる。

傍にいてくれるだけで、何故だかホッと心が安まる宮田俊哉に。




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