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桜花楼の恋

第22章 婚礼の日

山本「裕太さま」

玉「今までありがと」

山本「こちらこそ貴方さまは離れていても俺の、ただ1人の主です」

玉「亮太、グスン」

山本「裕太さま、ニコッ」

屋良「幸せになれよ裕太」

玉「屋良…にぃ‥」

屋良「俺も今日からはそう呼ぶことにする」

玉「亮太を宜しくね」

屋良「あぁ」

山本「んふふっ」



幸せが連動する。



屋良「じゃ俺らもバラしちゃおっかな」

山本「えっ、カァーッ」

河「なっ、なに」

五「まだ何かあるの」

橋「亮太、顔が赤いよ」

千「教えて」

屋良「子が出来た亮太の腹に俺の子が」

ニ「マジいぃーっ」

戸「おめでとう」

山本「あっ…あり‥が…と‥カァーッ」

塚「やるじゃん屋良にぃ」

玉「お母さんだね亮太」

山本「はい、ニコッ」

宮「今日は本当にいい日だ」

千「おう」



この良き日に。



殿「松平太輔」

藤「はっ」

殿「そちは宏姫を娶り生涯仲ようすることを誓うか」

藤「誓いまする」

殿「前田宏」

北「はい」

殿「太輔の伴侶となり生涯尽くすことを誓うか?」

北「誓います」

殿「杯を持てぇーっ」

家老「御意にござる」



おめでとうミツ、ガヤ。

みんなが見守る中、互いに向き合い夫婦の杯を交わす2人。

俺達は微笑みながら、その光景を見つめていた。

けれど、まだ俺はこれからミツに待ち受けている過酷な試練の事は知らなくて。



殿「皆の者、遠慮のう飲んで騒ぐがよい。めでたい日じゃ許す」



それを知ったのは横尾家へ行ったその日の夜、わたの口から。



玉「くっ、かわいそ」

横「裕太」

玉「酷い、そんなの」

横「仕方がない、もうミツは覚悟を決めている」

玉「ミツ、ミツうぅーっ…うあぁ」



ごめんなさい、そんなことも知らず初夜の晩じゃましちゃって…クッ

あの夜、寝床へ潜り込み。



北「タマ!?」

藤「おまっ、何やってるんだよ!?こんなところで」

玉「えへへっ」



ちょっとだけミツに甘えたかったんだ、約束したろ一緒に旅をするって。

でも、出来なかったから。

せめて、横尾家へ行く前に添い寝がしたくてニカや千賀みたいに。

泣き続ける俺を、わたはずっと優しく抱きしめてくれていた。

朝までずっと━




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