テキストサイズ

桜花楼の恋

第23章 1つの出会い

・北山side

奥「そうですか分かりました、ただし」



城へ帰り、事情を話したら。



奥「お身体をおさじに見て頂いてから、それで宜しいですね」

北「どうして?」

奥「長く質素な生活をしていた者を奥へ上げるとなれば当然 必要なこと」



ふーん、んだか。

が、この時はまだその言葉の意味を俺は深くは考えてなく。

しかし…



奥「大丈夫だそうです太鼓判を頂戴いたしました」

北「なんの?」

奥「よい子が生まれるでしょうとのこと、フフッ」

北「ちょっ待て俺は、んなつもりで連れて来たんじゃ」

奥「言葉遣いに気をつけなさい宏姫」

北「‥‥っ」

奥「誰が聞いてるとも限らないのですよ」

北「くっ」



でも、でもよ。



奥「心配はいりません雪なら快く承諾してくれました」

北「なっ」

奥「もちろん全てを話したわけではありませんが姫は子ができぬゆえ代わりに産んであげてはくれまいかと頼んだところ」



“私でお役に立つのなら”



母「そう申し、なんと優しい娘じゃ」



ずっ、ズルいってば。



奥「私を嫌いになりましたか?」



そうやって、いつも先手を打ちやがって。



奥「構いませぬ私は尾張の御台、殿のため強いては尾張百万石の民・百姓の為ならいくらでも悪者になりましょう、フッ」



分かっている…



奥「では太輔には姫からこの話をなさって下さい」



あんたは、そういう人だわ。



奥「あの娘の気が変わるとは思いませんが、なるべく早いうちに」



策を練ったら、男に引けは取らない。



奥「あっそうそう、その前に一度さり気なく太輔に面通しすることも忘れぬよう」



したたかな尾張の奥方。



奥「頼みましたよ宏姫」

北「…はい」



俺はこの人には勝てない、まるで弱味でも握られているような心境だわ。



京本「申し訳ありません」

安井「俺達が余計なことを言ったばかりに姫を苦しめるような事とあいなり」

北「気にすんな」

京本「…姫」

北「もうとうに覚悟は決めてた事だからよ、フッ」

安井「‥‥‥」




ストーリーメニュー

TOPTOPへ