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桜花楼の恋

第23章 1つの出会い

・横尾side

太輔と再会したとき。



玉「ねぇ、わた」

横「んっ?」

玉「ミツ、自分の傍に新しい腰元を置いたらしいよ」



あいつは、以前と変わらぬ態度で接して来て。



玉「それって、もしかしてさ」



だが、その瞳に込められた裕太への想いを感じた俺は。



横「たぶんね」



ある事を決心し、父上に胸の内を明かしたんだ。



横「跡継ぎが必要なのは、どこの武家でも同じこと」

家老「しかし自分は作る気はないと」

横「父上お願いします」

家老「‥‥‥」

横「俺は裕太を泣かせたくはないんです、クッ」

家老「…渉」



これ以上、辛い思いは。



家老「分かった」

横「‥‥っ」

家老「話してみよう」

横「父上」

家老「私も、あの子が可愛い自分の臣下であったにも関わらず父さま父さまと慕ってくれどんなにか心が癒されていることか」

横「ふっ」

家老「若君が傍に置いておきたかった気持ち御台様や殿が慈しまれていたお心が今更ながらによく分かる」



そして━



横「父上がお呼びだよ」

玉「なんだろ?」



やって来たのは7歳くらいの童(わらべ)



「佐藤勝利と申します」



にしてはしっかりしている、さすがは叔父上の子。



家老「今日より当家の子となった、ニコッ」

玉「ってことは弟?」

家老「いや渉の養子となりゆくゆくは横尾家の跡を継いで貰う」

玉「えっ、わたの?」

佐藤「宜しくお願い致します」

横「ニコッ」

玉「…ぁ」



とたん、みる見る裕太の瞳から涙が溢れ出す。



家老「嬉し涙はよいが悲しい涙・辛い涙は流させはせん笑っていておくれ、それが父の…殿や御台さま若君の想いなのだから」

玉「はい、父さま…ヒック」



太輔お前はどうする?




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