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北「うっ…ｸｯ」



気がつけば、両腕で自分の身体を抱きしめ。



北「…っあ」



口から漏れそうになる嗚咽を、必死で堪えている自分がいてさ。



雪「あっ…」



それでも、俺らの為に身を投げ出してくれた雪のことを思えば逃げ出すことは出来ないと。

藤ヶ谷だって、きっと同じ思いでいるに決まっている。

だから、だから俺は…ｸｯ



雪「…いっ‥痛あぁーっ」



ズッキン！

その叫び声を聞いた瞬間に、心が半端ないほど痛み。



北「くっ、ううっ」



すると、突然ギュッと後ろから抱きしめられかと思ったら。



奥「もうよい宏姫、充分じゃ」

北「なっ」



確かな、暖かな温もりが身体中を包み込む。



奥「すまなかった」

北「なん…で‥ﾋｯ…ｸ」

奥「そなたを追いつめ傷つけたのは、この私」

北「俺は…別に‥」

奥「いや、その心の痛みがどれだけのものか一番分かっているはずの私が」

北「‥‥‥」

奥「許しておくれ」

北「くっ」



今さら、謝るんじゃねぇよ。



奥「部屋へ戻りましょう、そんなに己を傷めつけなくとも」

北「俺は、ここにいる」

奥「気持ちは分かります、なれど」

北「いいんだってば！」

奥「‥‥っ」



と、再び。



雪「うっ…あっ‥くぅー」



んだめだ、身体が裂け気が変になっちまいそう！ｸｯ



北「ぐぐぐっ」

奥「ほら、無理をせずに」



グイッと奥方が、俺の身体を引っ張る。



北「はっ、放せ俺は藤ヶ谷の傍にいたいんだ！ｷｯ」



あいつの苦しみは、俺の痛み。



藤「悪い‥もうすぐ痛く…なくなると‥思う ｸｯ」

雪「お気遣い…なく‥」



その心の痛みは、俺の苦しみでもあるんだからよ。