テキストサイズ

桜花楼の恋

第24章 暗雲の兆し

・玉森side

季節が夏へと変わり行く頃、俺は久々に尾張の城へと赴いていた。



「これはこれは裕太さま、お元気でおられましたか」



ミツが連れて来た町娘、雪をガヤが囲ってから既にひと月半。



千「宏光、どうしているかなぁ」



城内で、それも奥の事となると城下にいる宮田や千賀、二階堂は知ることが出来ず。



ニ「なぁータマ、お前なら行けるだろ城の中へ」



不安だけが募って行く3人の姿を見かねた俺が。



玉「分かった」



わたに、そのことを言い登城することになったってわけ。

だけど━



丸山「おっ、翔やんか元気にしとった」

高田「‥‥‥」



だったら一緒に、そう言った わたの言葉の意図が汲み取れないまま翔も同行し。



丸山「なんや久しぶりに会ったのにつれない態度やなぁ愛想わるいんちゃう」



雪に横恋慕している翔にとって、今の現状はかなり辛いはず。

なのに、どうして?

その事情を知ってか知らずか丸は。



丸山「ほな行くでぇ」



ガヤのところへ一緒に連れて行ってしまい、後に残された俺は取り合えず父上に挨拶しに行こうと廊下の奥へと向かって。

けれど、近づくにつれ何故だか嫌な空気に包まれてさ聞こえて来たヒソヒソ話し。



「間違いありません、殿」

「なれど、なっ」

「早いところ手を打たなければ尾張の一大事となるやもしれないのですぞ」



えっ?



「宏姫さまが男であったとなると由々しきこと」



まっ、まずいバレてる。



「待て、まずはこの眼でしかと確かめてからじゃ」

「殿!」

「よいか我が判断するまで他言は無用、もし破れば」

「かっ、かしこまりましてございます」



大変だ、どっ、どうしよ。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ