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殿「答えよ宏姫」



俺は、覚悟を決め前を見据え口を開く。



北「確かに俺は男です」

奥「姫！」

北「悪い、もういいわ」

奥「何がです」

北「これ以上、俺らのことで誰も巻き込みたくはねんだ」

奥「本心ですか？」

北「あぁ」

奥「太輔といれなくなってもいいと？」

北「あいつは、ﾌｯ」



今頃きっと、凄く悩んでると思うぜ。



殿「先日の件のあと家臣の１人が疑惑を持った残り加賀から来た者たちも含め宏姫、そなたが男ではないかと」



そいつ、勘のいい野郎だ。



殿「それで探らせてみたんだが湯殿にて」



ﾁｯ、見られちまっていたんだな。



奥「で、どうなさるおつもりだと言うのです？」

殿「御台、そちはいつから気づいておったのだ」



なら仕方がない…



奥「あの琴を聞いた時からです」

殿「なっ、分かっていて」

奥「確信したのは、もう少し後ですが」

殿「まぁ、今更どうのこうの言っても致しかたない」

北「‥‥‥」



藤ヶ谷、お前とちゃんと話がしたかった。



殿「そうと知ったからには」



こうなる前に、もう一度。



奥「お待ち下さい！」

殿「御台」



と、とつぜん奥方はギュッと俺のことを抱きしめ。



奥「この子は私の娘です」

北「‥‥っ」

殿「何を言っておる？」

奥「殿は姫が可愛くないのですか今まで申して来たことは本心から出た言葉であったのでしょう」

殿「その通りだ、なれど」

奥「男と分かった途端に姫への想いが変わってしまうならば本心とは言えません」

殿「なに！」

奥「私は変わりませんでした、それどころかこの子が愛おしくて」

北「くっ、いいって」

奥「よくありません！ｷｯ」



恐っ、人のこと抱きしめたまま睨むなってば。