桜花楼の恋
第25章 それぞれの春
奥「ご存知ですか2人の馴れ初めを」
北「えっ」
奥「殿も覚えているはず幼い太輔が崖から落ち」
北「どうしてそれを?」
奥「貴方のお仲間に聞きました、ニコッ」
北「‥‥っ」
奥「あのとき太輔のことを身を持って助けたのが宏姫なのですよ」
殿「なっ、なんと!?」
それから、奥方は俺と藤ヶ谷の今までのことを洗いざらい話して聞かせ。
奥「それだけではありません」
殿「まだあるのか?」
奥「殿は何も分かっていらっしゃらない」
殿「何をだ?」
奥「好いた方の子を産めない苦しみ辛さを」
殿「何を申す宏姫は男ぞ子ができなくて当り前ではないか」
奥「そうではありません」
殿「そちが言いたいこと、よには分からぬ」
ちょ待て、俺のことがきっかけで喧嘩しないでくれ。
奥「男であろうと女であろうと、その想いは同じ」
殿「御台」
奥「私は殿が欲しいと願う姫を産んで差し上げられなかった」
殿「それは」
奥「だから代わりにと」
殿「断ったであろう」
奥「なにゆえ?」
殿「んっ?」
奥「太輔は受けましたよ、その違いが分かりますか」
殿「‥‥‥」
奥「どうしても、この2人を引き離すと申すのであれば」
殿「答えてからにしろとでも?」
奥「はい、さすれば私や宏姫の辛さ悲しみ受けた心の傷の深さが分かるはずです」
殿「なっ」
そして奥方はこうも言ったんだ、知ったなら俺と藤ヶ谷を引き離すことは出来ないと。
殿「分かった」
北「‥‥っ」
殿「そうまで申すのであれば考えてみよう」
奥「殿」
殿「よは御台が大事だからの、そのような事を言われたら悲しい」
奥「有り難うございます」
暫しの猶予…か。
奥「宏姫、大丈夫です殿は必ず分かって下さいます」
北「‥‥‥」
この人の俺への想いは本物だ、ならば俺も答えねばならない子としてその想いに。
温かな腕の中で思う、口に出して言えず顔を埋め。
北「えっ」
奥「殿も覚えているはず幼い太輔が崖から落ち」
北「どうしてそれを?」
奥「貴方のお仲間に聞きました、ニコッ」
北「‥‥っ」
奥「あのとき太輔のことを身を持って助けたのが宏姫なのですよ」
殿「なっ、なんと!?」
それから、奥方は俺と藤ヶ谷の今までのことを洗いざらい話して聞かせ。
奥「それだけではありません」
殿「まだあるのか?」
奥「殿は何も分かっていらっしゃらない」
殿「何をだ?」
奥「好いた方の子を産めない苦しみ辛さを」
殿「何を申す宏姫は男ぞ子ができなくて当り前ではないか」
奥「そうではありません」
殿「そちが言いたいこと、よには分からぬ」
ちょ待て、俺のことがきっかけで喧嘩しないでくれ。
奥「男であろうと女であろうと、その想いは同じ」
殿「御台」
奥「私は殿が欲しいと願う姫を産んで差し上げられなかった」
殿「それは」
奥「だから代わりにと」
殿「断ったであろう」
奥「なにゆえ?」
殿「んっ?」
奥「太輔は受けましたよ、その違いが分かりますか」
殿「‥‥‥」
奥「どうしても、この2人を引き離すと申すのであれば」
殿「答えてからにしろとでも?」
奥「はい、さすれば私や宏姫の辛さ悲しみ受けた心の傷の深さが分かるはずです」
殿「なっ」
そして奥方はこうも言ったんだ、知ったなら俺と藤ヶ谷を引き離すことは出来ないと。
殿「分かった」
北「‥‥っ」
殿「そうまで申すのであれば考えてみよう」
奥「殿」
殿「よは御台が大事だからの、そのような事を言われたら悲しい」
奥「有り難うございます」
暫しの猶予…か。
奥「宏姫、大丈夫です殿は必ず分かって下さいます」
北「‥‥‥」
この人の俺への想いは本物だ、ならば俺も答えねばならない子としてその想いに。
温かな腕の中で思う、口に出して言えず顔を埋め。