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桜花楼の恋

第25章 それぞれの春

殿「が、御台の申す通り そちらを引き離す権利わしにはないようだ」

藤「父上」

殿「おなごになってまで想いを貫き通し尚且つ子まで与えてくれた宏姫を」

藤「‥‥‥」

殿「どうして離縁できよう」

藤「でっ、では」

殿「大事にせい、フッ」

藤「はっ、有り難うございます」



北山━



沙希「失礼いたします宏姫さま殿より預かりし物が」

北「んっ?」

奥「まぁ、なんでしょう」

北「かんざし?」

奥「あら、んふふっ」



俺は、急ぎ北山のもとへと向かう。



藤「北山!」

北「藤ヶ谷」

奥「やっと来ましたね遅いですよ太輔、フッ」

藤「申し訳ありません母上、それから」

奥「なんです?」

藤「有り難うございました」

奥「では姫、思いっきり 甘えなさい ニコッ」

北「えっ、あ…カァーッ」

奥「クスクスッ、沙希まいりますよ」

沙希「はい」



その気品ある後ろ姿に、頭を下げる。



北「あっ、あのよ」

藤「ごめん寂しい思いをさせ」



ギュッと抱きしめれば。



北「藤ヶ谷」

藤「名前で呼べ」

北「…太‥輔」

藤「宏光、ニコッ」

北「太輔」



ギュッと抱きついて来たその愛しい唇に接吻をし、そのまま。



北「あっ、あぁ」

藤「やっぱ俺は、お前がいい」

北「あっは、んっ、いっ」



お前だけだ、ひろ。

ぐじゅグジュッと、その中へ自身を挿し込めば。



北「うっああぁーっ」



背中を仰け反らせ、答える姿に俺は。



北「はっあっ、あっあぁ」

藤「ずっと一緒だ、ニコッ」

北「んでも、あっ、お前の親父さんに、ああっ」

藤「父上なら許して下さった、フッ」

北「えっ」



ズゴッ、ズゴッ、その想いの丈を打ちつける。



北「ひっあっ、いっ」

藤「お前が心を開かせたんだ頑なな心を」

北「おっ、俺が、ああっ」

藤「最高だマジで、フッ」



が、それから何故か父上は。



殿「宏姫、宏姫はおるか」

奥「どうなされたのです」

殿「そちに剣術の稽古をつけてやる」

北「はっ?」

殿「よいから付き合え」

北「ええっ!?」



その溺愛ぶりは、加賀へと届き。



「そう良かったの、フッ」



2つの国は、更に親睦を深め平和に満ち溢れて行く事となる。

俺達の願いと共に━




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