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桜花楼の恋

第4章 馴染んでく身体

藤「番頭、番頭はいるか」

戸「きっ、北山」

北「もう心配はいらない藤ヶ谷に任せとけばいい」

戸「‥‥っ」



ギュッと、その腕が優しく俺の身体を包み込む。

ぁ…温かい‥クッ



番頭「どうなされました若さま?」

藤「俺の刀を持って来い」

番頭「はっ?」

藤「早くしろ!」

男「ちょ、待ってくれ」

番頭「なにをなさるおつもりで?」

藤「こいつは俺を怒らせた手打ちにしてやる、キッ」

男「ひっ、ひぃーっ」

番頭「おっ、お待ちを」

藤「グタグダ言ってないでサッさと持って来やがれ、じゃないとお前も叩っ斬るぞ」

番頭「はっ、はい今すぐ」



ダダッ!

北山を抱きしめてあげたいと思っていた自分が今、逆に抱きしめられている。

ダダダッ!



旦那「若様、どうか!どうか気をお鎮め下さい郭の中で血生臭いことをされますとお客様が来なくなってしまいます」



ありがと、フッ



藤「ならねぇ、こいつの顔見るだけでもムカつく」

男「ごっ、ご勘弁をお侍様お許し下せぇ…ワナワナワナッ」



俺は、独りぼっちじゃないんだね。



旦那「でしたら立ち入り禁止に致します、それで」



みんなが傍にいてくれる。



藤「それだけじゃ治まらないな」



いざとなったら助け合える仲間が一緒に。



旦那「では如何すれば?」

藤「この遊郭街すべての郭を立ち入り禁止にしろ」

旦那「さすれば怒りを鎮めて下さるのですか?」

藤「あぁ、フッ」

男「くっ」

旦那「分かりました、おいこの男を早く店から連れ出せ」

男衆「へい」

男衆「ほら来い」



バタバタバタ―



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