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桜花楼の恋

第4章 馴染んでく身体

旦那「お前は全部の郭へ廻って事の次第を説明し立ち入り禁止の了解を貰って来るんだ」

番頭「分かりやした」



ダッ!



旦那「これで宜しいでしょうか?」

藤「まだ一番肝心なことを忘れてるぜ戸塚太夫を見ろ可哀相に傷だらけじゃないか、こういった場合は」

戸「‥‥っ」

旦那「ハッ、誰か!そこにいるか」



ダダッ!



男衆「へぇーい」

旦那「急いで河合の若旦那をここへ」

男衆「かしこまりやした」



ダダッ!



藤「ふっ、上出来だぜ騒がせてすまなかったな」

旦那「いえ、こちらこそ ご気分を害される客を通してしまい申し訳ありませんでした以後このような事がないよう注意いたしますので」

藤「頼む、ニコッ」



こいつ、何者?



藤「初めてお目にかかる戸塚太夫いやトッツー、北山が世話になったみたいだな」

戸「おっ、俺は別に」

藤「お前が傍にいてくれることがこいつの支え、これからも宜しく頼む、ニコッ」



微笑む笑顔は、さっきとは打って変わり優しく。



五「藤ヶ谷っていい奴だぜ」

塚「心配しなくても大丈夫だってトッツー、ニコッ」

橋「ハッシーねぇ、この間洗濯手伝って貰ったんだ」



本当にみんなの言った通りだった、そう思う。



河「一度話してみたらいいじゃん、そうすれば分かると思うからよ」



ごめん河合、俺、酷いこと言っちゃって。

ダダダダダッ!



河「トッツーっ」

戸「河合!」



ギュッ!



戸「俺…俺さぁ‥クッ」

河「いい、もう何も言うな怖かっただろ ニコッ」

戸「うっ…わあぁーっ」



ここは男娼遊郭、男が身を売る場所。

けれど、そこにも優しさと思いやり気遣ってくれる仲間たちがいた。

確かな恋いも━




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