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桜花楼の恋

第4章 馴染んでく身体

・北山side

その日の昼間━



戸「やっぱ俺たち男娼の気持ちなんて分からないんだね」

河「トッツー」

戸「その身になってみなくちゃさ」

河「‥‥っ」

戸「もういい」

河「なにが?」

戸「来なくていいから帰って!」



ただ事じゃない隣の部屋の雰囲気に、俺は気が気じゃなく。



河「もう俺の顔なんか見たくないってことか?」

戸「そうだね」

河「…分かった」



あげく河合は出て行ってしまうし、トッツーは泣き崩れてしまったみたいでよ。



藤「‥‥‥」



いつもは、お喋りな藤ヶ谷も流石に黙りこくってしまい。

そしたら夜━



番頭「戸塚太夫、手付けの旦那がいらっしゃいましたお通ししますので、お願いしますね」



手付けの旦那って、あの男か。



藤「北山、そろそろ始めるぞ」



千賀が前に教えてくれた、すっげぇ酷い奴でトッツーの身体と心をズタズタにした野郎だって。



藤「どうした?」



俺は、居ても立ってもいられなくなってしまい。



藤「おい、何をやっているんだよ」



中の様子を伺おうと、丸障子へ飛びついてしまう。



藤「よせ、やめとけ気になるのは分かるが向こうは見られたくないに決まっている」



すると、藤ヶ谷に止められ言われた言葉に。



戸「でも河合のときで良かった、フフッ」



初めてトッツーに会った日、あいつが言ってた事を思い出す。



戸「他の奴とだったら俺、きっと凄い顔してたと思うし」



くっそ。



藤「ほら、裸になって横になれ聞こえないようにしてやるから」



何もしてやれないことが、歯痒くて堪らない。




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