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桜花楼の恋

第5章 広がる不安

玉「俺ってガヤにとって一体なんなんだろう」

横「可愛い弟に決まってるじゃん、ニコッ」

玉「嘘っ、知らないとでも思っているの」

横「‥‥っ」

玉「ガヤが子供の頃に俺を離さなかったのは初恋の人の面影を重ね合わせていたからなんでしょ」

横「お前、いつそれを」

玉「俺だってもう子供じゃない人の話しを盗み聞きするくらいは!ハッ」



そういうことか、油断していたな俺も太輔も。



横「なぁ裕太、俺と賭けをしない?」

玉「えっ」

横「今、太輔と2人きりでいると二階堂は言ってみれば恋敵も同じ」

玉「なんで?」

横「1人の男娼を奪い合った仲だからだよ」

玉「‥‥っ」

横「が、まともに話をするのは今日が初めてと来ている」

玉「だから?」

横「仲良くなれると思う?この少しの間で」

玉「無理じゃない、クスッ」

横「俺はなれると思う」

玉「それが賭けってこと」

横「俺が勝ったら太輔が惚れ込んでいる男娼に会って来い」

玉「なっ、どうして?」

横「答えは自分で見つけなければ意味がないって事さ、そいつと話せばあいつの気持ち分かるかもしれないだろ?お前に対してのことだって」



さぁ、どうする裕太?



玉「…分かった、けど俺が勝ったら?」

横「お前の言うことを何でも聞いてやるよ、ニコッ」



俺は、兄貴離れをさせてやりたかったんだ裕太を。



横「よし、じゃあ行くよ」



ある意味、裕太は自分勝手な周囲の連中に振り回されたようなものだったから。

あんな事さえなければ…

いや、我らの主君が無責任な判断さえしなければ今頃は親兄弟仲良く一緒に暮らしていたはず。

しかし、そんなこと今さら言ってもなんの意味もない。

だったら、自分の足で歩いて行けるよう導いてやるのが務めだと。

俺は、そう思っていた裕太の将来の為にも。




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