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桜花楼の恋

第5章 広がる不安

藤「そこは色とりどりの花が咲き乱れマジで綺麗な場所だった、フッ」



小さかった俺は、つい見とれてしまい足を踏み外し気がついた時には。



ニ「ガヤ…」

藤「その日から、ずっと」

ニ「面影を求め」

藤「江戸を去るときは後ろ髪を引かれる思いでさ」

ニ「くっ」



すると二階堂は━



ニ「ううっ、ヒックッ」

藤「なっ、どうしてお前が泣く」

ニ「感動してんだ、クッ」

藤「えっ」

ニ「10年だぞ、すっげぇ長いじゃんかぁーっ」

藤「あぁ、フッ」

ニ「そんなにもの間、ヒクッ」

藤「そうだな、ニコッ」

ニ「俺、なんも知らなかったとはいえガヤのこと」

藤「いいんだって、フッ」

ニ「よかねぇや」



なんだ?こいつ、いきなり。



ニ「で、これからどうするつもりなんだよ?」

藤「この分じゃ当分、屋敷からは出して貰えそうに」

ニ「けどそれじゃミツは他の客を取らされてしまうんだぜ、いいの」

藤「いいわけないだろ」

ニ「俺は何をしたらいい」

藤「二階堂」

ニ「ニカって呼んでくれ」

藤「協力するって言うの?ニカ」

ニ「身分違いが何だ男同士でどこが悪い」

藤「ふっ、お前って奴は」

ニ「へへっ、ニコッ」



ありがと感謝する、フッ



藤「策は練る、が動けるのは…」

ニ「もしかして、さっきのわたって侍?」

藤「俺の周りにいる味方は今んところ、あいつしか」

ニ「ってことは」

藤「わたと連絡を取り合うことで俺との繋ぎをつけ」

ニ「事にあたればいいってわけだな?」

藤「頼むニカ、フッ」

ニ「任せとけ、ニコッ」



しかし、まさか。

こいつが一番に仲間になってくれるとは思ってもみなかった。

北山の初だしの日、俺のことを敵意剥き出しにし睨んでいたニカが。

分からないもんだ、フッ




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