テキストサイズ

桜花楼の恋

第6章 兄弟の絆

北「こら、んなにくっつくな」

ニ「へへーんだ今夜は独り占めしていいってガヤから許しを貰ったもん」

北「その藤ヶ谷は、お前のことばかり書いて来てなんで急に消えたか一言も説明してないじゃん」

ニ「あっ、寂しいんだ?」

北「はっ?んなわけないだろ、いなくなって清々してるわあんな奴」

ニ「嘘つけ、クスッ」

北「嘘じゃねぇ」

ニ「ムキになってるところが怪しい、ニヤッ」

北「ニカ!」

ニ「きゃははは」

北「もう勝手に言ってろって、ハァ」



でも、ミツを見てて思う。



北「俺は男なんかに惚れたりしないのによ」



本当は好きなんじゃない?ガヤのこと。



横「まず、あいつの本心を探ってみる」

ニ「どうやって?」

横「それは言えない、が」

ニ「んっ?」



わったーは、何をしようとしているのだろう。



横「そうだニカに引き合わせておきたい男がいるんだ出て来い翔」



そこへ現れたのは━



高田「お初にお目に掛かります高田翔と申します以後お見知りおきを」



いわゆる忍びって奴で。



ニ「かっちょえぇーっ」

横「全ては、こいつに探らせているから俺に用がある時は鈴を鳴らせばすぐさま駆けつけ知らせてくれる」

高田「なんなりと、お申し付け下さい」

ニ「よっ、宜しく」



その夜、俺はミツの温かい温もりに包まれながら眠りについた。

そして━



ニ「…くっ‥母さん…母っ‥さ…ヒクッ」

北「夢を見ているのか、お前んでもきっといつかニカの心の中にポッカリと空いた穴うめてくれるやつに必ず出会える、それまでは寂しくなったら俺の胸を貸すから安心して眠っていろ」



この声はミツ。

ふわっと髪の毛を撫でられてる感触を感じたとたん、心が不思議なほど安らいでく。

ありがと。

それは毎晩、母親恋しさに泣いていた俺の心に春風がそよいだ瞬間だった。

大切な人を失ってしまった長年の悲しみから、抜け出させてくれたかのような。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ