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桜花楼の恋

第6章 兄弟の絆

・玉森side

横「約束だよ裕太あいつに会って来な」



わたとガヤの所へ行った俺は。



藤「よし、じゃあ今日からニカは俺の弟も同じ」

ニ「マジで、やったぁ」

横「んふふっ」

ニ「あっ、わったー」

横「わっ…たー?」

二「違った、わただっけか」

横「わったーでいいよ」

二「ガヤがな」

横「良かったねって事は俺の弟でもあるわけだ」

ニ「うわっ、いっぺんに2人も兄貴ができちゃった、んふふっ」



瞬く間に仲良くなり、兄弟の契りまで交わしている2人を見て唖然としてしまう。

信じられない…俺、そんなに沢山いらないから。

だってさ、わたはガヤの兄貴的存在でその2人の弟分になるって事は自分にとっても。

そう思った、次の瞬間。



ニ「ニッ」

玉「ギクッ、なにその笑み」

ニ「俺もタマって呼んでいい?ニコッ」

玉「勝手にどうぞ、プイッ」

ニ「じゃ、そうするぅ」



で、その翌日。



門番「裕太さまどちらへ」

玉「散歩」

門番「お独りでお供の方は御一緒ではないのですか」

玉「俺のこと子供扱いする気」

門番「いっ、いえ」

玉「だったら早く門を開けて」

門番「ただいま」



ギィーッ!



門番「お帰りはいつ」

玉「キッ」

門番「おっ、お気をつけて行ってらっしゃいませ」



どうせ心のどこかでバカにしているくせに、元は旅芸人のガキがって

俺だって、好きで貰われて来たわけじゃない。

町に出れば賑やかな人通りの中、そこは沢山の人達で活気が溢れ。

でも俺の心は暗い。



千「あっ、若様の若様だ」



へっ?なにこいつ変なやつ。



千「ガヤさんと一緒にいた若様だよね」



知り合い?



千「俺 千賀健永、宜しく」



あっ、わたが言ってた郭の息子の。



千「どうしたんだ独り」

玉「そっちは」

千「宮田に会いに行くところ名前なんていうの」



誰?そいつ。



玉「タマそう呼ばれてる」

千「ネコ?」

玉「違う!」



どう見たって人間でしょ。



玉「あのね小さいとき手毬をいつも肌身離さず持っていたからガヤがそう呼ぶようになっただけ」

千「ふーん」



その手毬が、顔も覚えていない自分の本当の兄さまから貰った物だと知ったのはだいぶ経ってからの事。




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