
愛すると言う事…
第7章 episode 7
翔「智がそう言うくらいなら、いい奴なんだろうな?光一の店でも頑張ってもらいたいんだけど…」
智「…まだ決まってねぇの?」
翔「あー、こっちに来たいらしいからな?」
智「……翔さんは?…どっちがいい?」
翔「まぁ、それだけの奴なら光一の方にとは思うけど…」
智「…俺が話してもいいなら、そうするけど……光一さんが嫌じゃないなら」
翔「ありがたいけど…光一が自分の力でって思ってるなら、話は別だしな?」
俺が話を付けるのは簡単だ。
ただ…光一さんのプライドもあるだろう。
だからそこは俺の出る幕じゃないんだ。
『もう少し様子見るわ』と翔さんは言った。
コーヒーを飲み干しシャワーを浴びた俺は、限界だった。
ベッドまで漸く辿り着き倒れ込む様に眠った。
昼過ぎまで寝てた俺は、やっぱり汗ばんだ身体の不快感で目を覚ます。
魘された訳じゃなさそうだ。
翔さんの無駄に高い体温の所為で、俺が汗ばむ羽目になって。
何故か翔さんはここ最近俺の隣でピッタリとくっつくか若しくは俺が抱き締められる形で寝てる。
この人の深い想いを知ってから、何となく拒みきれない俺がいる。
こうして一緒に寝る事もそうだけど、恥ずかしくなるくらいキスする事も、翔さんの想いを考えると拒んだ時の切ない顔も簡単に想像できた。
嫌な訳じゃない。
…恥ずかしいだけで。
やっと体が仕事を思い出して慣れた頃。
従業員たちはみんな旅行の話で持ちきりだった。
毎年行ってた慰安の為の旅行。
三年間、意識の無かった俺の所為でその間は行けずにいたらしく物凄いテンションの上がり様だ。
申し訳ないとしか言い様がない。
『俺、初めてなんすよ!超楽しみ!だって毎年行ってたのに三年も行けなかったんすよね?何で三年も空いたんすか?』
ただただ…
申し訳ない…
そう言おうか迷ってた。
迷ってた隙に、一人が大きな咳払いをして。
他は黙り込むと言う、尚更申し訳ない事態に陥った。
亮「お前、マジで空気読めねぇのな?」
入ってきたのは、亮さんだった。
新人くんは…名前聞いたけど忘れた。
一人キョトンとしてる。
亮「智が入院してたからだろ!」
『え?たった一人の所為で?』
亮「…お前…馬鹿だろ?……ハァ…もういいわ。喋んな」
『何すか!だってたった一人の所為で?皆楽しみにしてた旅行でしょ?』
