テキストサイズ

愛すると言う事…

第2章 episode 2


翔「従業員が、売り上げや客の付き具合いを気にするのは当然だ。客はお気に入りのホストにもっと特別扱いされたいから、わざと他の店のホストの噂したりすんだよ」

やっぱ、俺が無知だっただけか…

ちょっと翔さんとこ行くの後悔し始めてたけど、説明聞いて若干申し訳なく思った。



マンションに着いて段ボールを運び込んだけど…

スーツを手にウロウロしてる俺を見て、使ってない部屋のドアを開けクローゼットを差した。

それを全部掛けたところで、クローゼットはがら空きで。

翔「もう少し買えよ」

溜め息と共に呟かれる。
俺は全く気にしてない。
だから『…別にいい』って言ったのに、『初日くらい新調しろ』ってどこかの店の名刺を渡された。

翔「連絡しとくから、明日行ってこい。…必ず」

智「………」

翔「分かったか?」

智「…………はぃ」

不貞腐れ気味に返事をしたのに、満足そうに笑う。

また、心臓が小さく跳ねた。

智「………ねぇ」

翔「ん?」

智「…ベッド。やっぱいるじゃん」

翔「そのうち買ってやる。それまでこっち使え」

二度ほど寝た事のある翔さんの寝室のベッド。
この人は平然とそんな事を言ってのけるけど。

智「…は?嫌だよ。一緒に寝るのなんて」

翔「心配すんな。俺はソファで十分だ」

智「…んな事出来ねぇって。だったら俺、自分の部屋帰る。まだ間に合うだろ?」

翔「俺は殆んどそっちで寝てねぇんだ。気遣ってる訳でも何でもねぇから、気にすんな」

智「…え?寝ないの?」

よくよく聞いたら、翔さんは殆んどの睡眠をソファで済ませてるらしい。

店に出て帰って来ても、その日の売り上げや従業員個人の売り上げやランクを確認。
そんな作業をしてからVIP客の金の落とし具合い…
全ての確認作業が毎日毎日山積みだと言う。

翔「寝てる暇なんかねぇよ」

智「……昼間は?」

翔「俺の客の対応」

智「…え?…翔さんも店出てんの?」

翔「まぁな。…もうそろそろ引っ込むつもりではいるけど…なかなかそうさせてくんねぇんだよ(笑)」

マジか…
まだ現役だったとは。
いや、まだまだイケる年齢だけど。


腹が減ったと言い出したけど、翔さんちに食材は何一つなく。
冷蔵庫には缶ビールしか入っていなかった。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ