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愛すると言う事…

第3章 episode 3


それでも同じ店の者同士が顔を合わせない訳にはいかない。
光一がフォローしてくれてる様だった。

涼介は、"ヘルプの分際で"って思ってる。

客にそこそこの人気がある智。
ヘルプの中ではダントツだ。
だけど、メインで客に付かないのは智が"ヘルプでいい"と思ってるから。
欲のない智は、現状で満足してる様だと斗真が言う。
今では涼介の方が智を付けたがらないらしいけど。

翔「大丈夫か?」

智「……ん。光一さんたちが良くしてくれる」

翔「良かった」

智「………寝る」

翔「あぁ」

疲れてトロンとした顔の智は、俺の理性を壊す勢いだ。

煙草を消してカップを置いた智の腕を、静かに引いたら、身体は俺の方へと傾いて。
驚いた顔の智と目が合った。
ふっ…と笑うと、途端に顔が赤くなる。

頬に手を添えてゆっくり唇を撫でたら、耳まで赤くなるから可愛い。

そっと、重なる唇。

触れるだけにとどまってた俺が、智の唇を舌で撫でると肩がビクッと揺れた。
浅く舌を忍び込ませると、智の全身は硬直する。
そこで俺はすぐに離れる。

これ以上は、マズい。

智を怖がらせるだけだし、最悪俺が止まらない。

翔「おやすみ」

智「………ぉ、ゃすみ///」

真っ赤な顔で逃げる様に寝室に入って行った。


パソコンを立ち上げある程度の仕事を済ませると、深い眠りの智の隣に横になる。

気持ち良さげな寝息を立てる寝顔を眺めてると、時期にその眉間が皺を寄せ歪み始めた。

魘される前兆。

静かにゆっくり、智を抱き締めて背中を撫でる。
『大丈夫』と何度も囁き続けると、無意識の智が小さく俺の服を掴んだ。

暫くすると、智の全身から力が抜けて穏やかな寝息が聞こえてくる。
頭を撫でて身体を離すと、俺は自分が寝る体制を作った。



週末の今日、平日よりも客の数は多く上位のホストたちは指名の度に複数のテーブルを回って歩かなきゃならないから、気合いの入り方が違う。

その分、ヘルプも場を繋ぐ為に必死だ。

智だけはマイペースに客の相手をして本人なりに楽しんでる…と思う。

控え室で店の様子を伺いながら煙草を咥えてた。
カウンターに二人の男女が見える。
斗真が対応してたけど、少し話した後何故か光一のテーブルへ向かった。

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