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愛すると言う事…

第3章 episode 3


翔「何かあったのか?」

亮「お疲れ様です。…何も無いですよ」

翔「そうか?…ならいいけど。光一、今年の旅行の話なんだけどちょっといいか?」

本当は智を迎えに来たんだけど、雰囲気的にそれは違うと悟った。
今ここで智を連れて帰れば、更にこいつを甘やかしてると思われる。

ドアを開けてしまった手前、そのまま出ていくのもおかしな話だから。

光「はい。今行きます」

光一も恐らく気付いてくれたんだろう。
さりげなく智の背中をポンと撫でて立ち上がった。

他の奴らはさっきまでの険悪な雰囲気に嫌気がさしてた様で、俺の"旅行"って言葉にテンションを上げていた。


事務所にまた戻って来た俺を見て、斗真は驚いてたけど光一がすぐ後ろから入ってきた事に気付き、嬉しそうに笑った。

光「翔さん、すいません」

光一はすぐに俺に頭を下げてきた。

理由はもちろん分かってる。
だけどそれは光一が頭を下げるべきではない。

翔「光一が謝る必要はないと思うけど?」

光「いえ、涼介を管理出来ない俺の責任です」

斗「……俺、涼介はもっと大人しい奴かと思ってた」

翔「いや。…あいつは根っからの負けず嫌いだ」

俺がそう言うと、斗真だけが驚いてた。
光一も何となく気付いてたんだろう。

翔「本当は、みんなの刺激になればいいと思ったから、入店許可出したけど…最近、ちょっと間違いだったのかと思う事が多くなってきた」

光「涼介も悪い奴ではないんですけど…ちょっと人との調和が取れない時があるんですよね」

翔「……もう少し、様子見てもいいか?皆が無理だって言うならまた考えるけど…」

光「いえ、様子見ましょう。俺ももう少しあいつの事見てみます」

光一の言葉に、斗真が『智くんは大丈夫です♪俺に任せて下さい♪』って笑う。
光一は苦笑いしながら『お前は智が好きなだけだろ』と突っ込んだ。

翔「はは(笑)まぁ、斗真が気にしてくれてるのはありがたいよ。…頼むな?」

斗「大丈夫ですよ!智くんは翔さんしか見てないですからね♪」

光「あー、そこは確かに心配無いっすね(笑)」

光一にまで言われて、さすがの俺も恥ずかしくなった。


結局、毎年の旅行の話は"まだ具体的に決まらなかった"って事にした。


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