
愛すると言う事…
第3章 episode 3
翔「いや、悪い。てっきり涼介を嫌がってると思ってたから」
智は『…嫌いでは、無い』って言いながらもその顔は照れ臭そうだった。
"ホストとして、トップに立ちたいだけなんだろうけど、光一さんたちに勝てないから苛ついてるだけじゃないか?何処にもぶつけられない苛立ちを、目に付いたヘルプの分際で名前を上げられる俺に向けてるだけだろ?…俺自身にムカついてる訳じゃない気がする"
智は珍しく饒舌にそう話してくれた。
翔「…なるほどな。まぁ、光一も"悪い奴じゃない"って言ってたしな」
智「………現に。…タクシーに乗せてくれようとした。本当にムカついてんなら、絶対しないだろ」
あれは、単純に歩いてる智を拾おうとしただけなのか?
翔「でもあれは…」
智「……涼介さん、俺の事情なんて知らない。意図があった訳じゃない。単に一緒に乗っけてやろうとしただけだろ」
そうか…
あいつは知らない。
って事は、素直にただ智と一緒に帰ろうとしただけ…
実際にタクシーが嫌いって理由までは俺も知らなかった。
翔「………悪い事、したな」
智「……本当だ」
翔「………」
智「……俺、翔さんってもっと"大人"だと思ってた」
翔「………」
智「…案外、餓鬼みたいな事するんだな?」
翔「うるせぇ///…お前の所為だろ///」
空になった自分のカップを持って立ち上がった智が『……腹減った』ってキッチンへ向かった。
昼はとっくに過ぎてる。
翔「飯食いに行くか?」
智「……ん。……作れる食材が無い。買い物しないと」
翔「んじゃ、飯食った帰りに買い物だな」
智が隣の部屋に入っていく。
俺が寝室に戻って着替えたら、リビングにジーンズ姿の智が居て。
久し振りにラフな格好の智は、スーツ姿よりも幼く見える。
元々、童顔なんだろう。
スーツの時はそれなりに見えてたから忘れてたけど、ジーンズ姿はそれはそれで可愛い。
智「………何///?」
翔「いや。…スウェット以外の格好、久し振りに見たなぁと思って」
ジーッと見てたら耳を赤くしてそっぽ向いた。
思わず頭を撫でて、頬にキスをしてしまった。
結果、顔が真っ赤になった。
