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オカズファンダジー

第8章 美少女剣士

せっかくの剣道着が胴着に隠れてしまって残念ではあるが、まあいいや、闘いに勝ってすぐに脱がすんだから。

「ボクが勝ったら道場の看板を貰い受ける」

「今の闘いで○○くんが強いのは分かった。でも、わたしはそうはいかないわ」

凄い気迫がボクにプレッシャーをかける。さっきの5人とは比べものにならないぐらいね気迫だ。これが剣士としての一花ちゃんか・・

「いざ」
「参る」

竹刀を構えたままボクと一花ちゃんは睨み合う。迂闊には手を出さない。間合を取って相手の気を読んでどう動くかを予測する。これが剣豪同士の戦いというものだ。

ボクがわざと一瞬の隙を見せると一花ちゃんが打ち込んできた。剣を受け止めて打ち合いが続く。何という剣さばきだ。速さも力も凄い。あんなに可愛い女のコがこんなに凄い剣を繰り出すのか。

一花ちゃんが攻めでボクが防戦という形勢を強いられる。

何とか形勢を逆転してボクの必殺の剣を一花ちゃんに叩き込んでやらなければ・・。いや、ダメだ、さっきのヤツらみたいに一花ちゃんを叩きのめすワケにはいかない。

ボクは一花ちゃんの剣を紙一重でかわすと竹刀を一花ちゃんの喉元に突きつけた。真剣だったらこれで突き刺せば一貫の終わりだ。

「勝負あったわね、わたしの負けよ」と一花ちゃんは潔く敗北を認めた。

「○○くんは強いし、優しいね。わたしを叩きのめすこともできただろうに、わたしを痛い目に遭わせないためにこんな勝ち方を・・」と一花ちゃんはにっこりと笑った。

優しくなんてないよ。あの5人だってあそこまで叩きのめしたし、この道場破りだって一花ちゃんを好きにしたくてやったこと。ケダモノだよとボクは心が痛んだ。

「看板はいらない。ただ一花ちゃんにボクが強いところを見てもらいたかった。一花ちゃんも鬼のように強かった」とボクは立ち去ろうとした。

いざとなると度胸がないなと思いつつ、一花ちゃんを悲しませるようなことはやっぱりできないとボクは思った。

「待って。まだ目的を果たしていないんじゃないの?」と一花ちゃんがボクを呼び止める。

「ボクの強いところは見てもらえたよね」

「嘘。道場の看板と引き替えにわたしを好きなようにするつもりだったんでしょ」

「そんなことはないよ」

流石は凄腕の剣士だ。心の内を読まれているが、ボク否定した。



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