ながれぼし
第6章 きみごころ
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「盗み聞きじゃん。やらし。」
櫻「やらしいって…。途中で変に俺が入らない方が良いと思ったんだよ。
講義始まる直前にタケからのメッセ見たからさ、あの教授癖があんじゃん、抜けるのにちょい手間取った。だから会話は途中からしか聞けてないけど、ま、なんとなくはな。」
先程、最終的に《親しき仲にも礼儀あり》とかそんな話をされて、櫻ちゃんのお説教は幕を閉じた
で、いつまでもこの部屋にいるのもなんだからと今の時間人の少ない食堂へと移動し
今に至る
「え?てことは、櫻ちゃんドアの陰に居たってことだろ?先輩が部屋から出てった時、良く気が付かれなかったね。」
櫻「いや気付かれたよ。」
「うそ?」
櫻「なんか俺の足に引っ掛かってきて転んでさ。バァカって言われた。」
サラッと、そう言う櫻ちゃんの顔は涼しいままだけど…
…
……いやいや
絶対にわざとじゃん。足
やっぱ…
櫻ちゃんからかうのは、2日に1回にくらいにしとこう
怖ぇから…
んで、
「智っちさ、いくらその子がタイプじゃないからって、はっきり言い過ぎたのが良くなかったよね。あの先輩にそんな事言ったらキレられて当然だよ。」
大「だって言えって言うから」
しれっ。
…そーなんだけどもね
う~ん…智っちのこの空気が読めない感
天然とはまた違うやつ……他人事ながら心配だ
櫻「…でもまぁ、まさかだよな。」
たぶん櫻ちゃんも同じ事を思ったと思う
けどま、今はそれは横に置いといて
そう。まさかなのだ
"あの先輩"の正体は、智っちに恋する男。ではなく、こよなく妹を溺愛し学生証にプリクラ貼るほどの超絶シスコン男。だったのだ
先輩の妹こと、まどかちゃん
その可愛い可愛いまどかちゃんにぴったりの彼氏を探して三千里ってわけ
櫻「酒飲ませたかったのは、酒癖を見るためねぇ…そりゃ性格変わって暴力する奴は嫌だけど、キス魔はいいんだな(笑)」
大「っ…キス魔って…覚えてないし…」
それな。
あの日、櫻ちゃんにぶっチューしちゃったことは、飲み会の翌日にしっかり智っちへ伝えたけど、本人はノミ程すらも覚えてはいない
「まーでも、これで一件落着?黄門さまも一安心じゃない♪」
櫻「今までの俺達は何だったんだろうなって感じだけどな…」
そうは言うけど、櫻ちゃんは ほう。と安堵の溜め息を吐いた