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ながれぼし

第7章 スパークリング



カチャ…。


自然と控え目にドアを開けて
玄関の中を覗き混む。


あ……


そこにあった、白のスニーカー


トクン。

と跳ねた心臓。


自分の家の筈なのに、静かに中に入って
静かにドア閉めて、静かに靴を脱ぐ。


なんでかって?


だって、もしかしたら寝てるかもしれないから。
起こしちゃ悪いでしょ?


抜き足 差し足 忍び足


いつもは暗いリビングに、灯るは照明。


もぉ…暗くしていいのに。


そっと覗き込んだソファー、の上。


大「くぅ……くぅ……」


その長い睫毛で縁取られた瞳を閉じ
気持ち良さそうに眠る貴方



『いらっしゃい。大野さん。』

俺は、そっと心の中で伝えた。




**


大野さんが、俺の家に来るようになったのは、いつだったかな…もうだいぶ前だ。


なんでかって?




……うぅ〜ん?
何でだろう?


なんか急に?突然?
気が付いたら、俺の家に遊びに来るようになって

あまりにも「家行っていー?」って聞かれる事が増えて、でもお互いに仕事もあるし、不規則だし、時間合わないし。


だから「勝手に入っていいよ」って、こうして合鍵を渡した。ってわけ。


でも、
最近は暫く来てなくて、だからそろそろ来るんじゃないかなって。
そんな時に、食事に誘われたからさぁ。
まぁ来るって確信はなかったし、だから誘われるままに食事に行ったけど。


結局頭の中は、大野さんのことばかり。


なんでかって?


………知らないよ。
俺が知りたいっての。


なんで最近来なかったの?とか
その間は誰かのとこ行ってたの?とか

そもそも…そもそもさ、なんでこんな関係が始まったんだ?って


ずっとずっと考えてる。



目の前の、警戒心ゼロの貴方の顔を覗き込みながら、俺は小さく小さく息を吐いた。




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