ながれぼし
第8章 in the water
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相「まっつじゅーん!まってー!」
このくそ暑いのに、俺の後ろから元気に走ってきたのは雅紀。
「暑いのに良く走れんな。」
相「だって、もーすぐ夏休みだよ!これから楽しいこといっぱいじゃん!」
あっという間に俺に追い付いた雅紀。キラキラとした笑顔。
雅紀の前では汗さえも。ってか。
つーか夏休み…もうすぐったってまだ1ヶ月も先だ。
「の前に試験な。あとわんさか部活もある。」
途端。
相「シケン?ソレッテオイシイノ?」
「試しに食ってみたら?岡田に殺されそうだけど。」
相「あは!その後の部活でも殺されそうー。」
なーんて、くだらないことを話ながら部活に向かうべく廊下を歩く。
俺は、高2になった。
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ピッ!
合図と共に、水の中に飛び込む。
俺の得意とする、自由形。
誰よりも、誰よりも速く、速く。
水の中ではそれだけを考える。
バシャンっ!!
「っはぁ…!」
ニ「…おぉ…潤。調子良いねぇ。」
ゴーグルを外せば、頭上から聞こた少しトーンの高い声。
そしてストップウォッチを俺に見せる。
マネージャーのニノだ。
「はぁ…だろ?絶好調!」
ニ「ふふ。この調子で予選もよろしくね。」
「任せろ。全国連れてってやるよ。」
ニ「ヒュ~♪かっこいー。俺惚れちゃう(笑)」
「あはは!」
笑った俺を見て安心したように、にこ。と微笑んで、じゃ次は雅紀ね。と離れていった。
パシャ…
離れていくニノを見送り、俺はよっ。とプールからあがった。
.
あれは…中学の夏休み。
水泳水泳の毎日で、そんな中の貴重な休み。
俺たちは海へ行った。
青い空。青い海。久しぶりの海にテンションは上がった。
そう。調子に乗った。
ろくに準備運動もせずに、海に入ったのは俺だ。
高い波から逃げながら遊ぶのが楽しくて…どんどん沖へと足をすすめた。
これまでにない高い波。
それから逃げようとした時だ。
足がつった。
ただそれだけ…それだけなのに俺の体は意図も簡単に波に拐われた。
俺を…助けてくれた男の子。
浜辺で俺の意識がクリアになった時には、もう居なくて…一緒にいた雅紀もニノも、わからないって。
それどころじゃなかったって。
目を開けた時の…真っ青な2人の顔を見て、本当に助かって…助けてくれて良かったって思った。