テキストサイズ

ながれぼし

第8章 in the water



****

相「まっつじゅーん!まってー!」
このくそ暑いのに、俺の後ろから元気に走ってきたのは雅紀。

「暑いのに良く走れんな。」

相「だって、もーすぐ夏休みだよ!これから楽しいこといっぱいじゃん!」
あっという間に俺に追い付いた雅紀。キラキラとした笑顔。

雅紀の前では汗さえも。ってか。


つーか夏休み…もうすぐったってまだ1ヶ月も先だ。
「の前に試験な。あとわんさか部活もある。」

途端。
相「シケン?ソレッテオイシイノ?」

「試しに食ってみたら?岡田に殺されそうだけど。」

相「あは!その後の部活でも殺されそうー。」

なーんて、くだらないことを話ながら部活に向かうべく廊下を歩く。



俺は、高2になった。





ピッ!


合図と共に、水の中に飛び込む。

俺の得意とする、自由形。

誰よりも、誰よりも速く、速く。
水の中ではそれだけを考える。


バシャンっ!!


「っはぁ…!」

ニ「…おぉ…潤。調子良いねぇ。」

ゴーグルを外せば、頭上から聞こた少しトーンの高い声。
そしてストップウォッチを俺に見せる。
マネージャーのニノだ。


「はぁ…だろ?絶好調!」

ニ「ふふ。この調子で予選もよろしくね。」

「任せろ。全国連れてってやるよ。」

ニ「ヒュ~♪かっこいー。俺惚れちゃう(笑)」

「あはは!」

笑った俺を見て安心したように、にこ。と微笑んで、じゃ次は雅紀ね。と離れていった。


パシャ…

離れていくニノを見送り、俺はよっ。とプールからあがった。




あれは…中学の夏休み。

水泳水泳の毎日で、そんな中の貴重な休み。
俺たちは海へ行った。

青い空。青い海。久しぶりの海にテンションは上がった。


そう。調子に乗った。

ろくに準備運動もせずに、海に入ったのは俺だ。
高い波から逃げながら遊ぶのが楽しくて…どんどん沖へと足をすすめた。

これまでにない高い波。
それから逃げようとした時だ。

足がつった。

ただそれだけ…それだけなのに俺の体は意図も簡単に波に拐われた。


俺を…助けてくれた男の子。

浜辺で俺の意識がクリアになった時には、もう居なくて…一緒にいた雅紀もニノも、わからないって。
それどころじゃなかったって。

目を開けた時の…真っ青な2人の顔を見て、本当に助かって…助けてくれて良かったって思った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ